内容説明
私たちはいかに作品に向き合うべきなのか? 特定のジャンルを越え、すべての作品に通じる鑑賞態度を拓く。
美術の見方が変わる!天才哲学者、マルクス・ガブリエルによる初の芸術論。
「私たちがアート作品を生み出すのではない。アート作品こそが、自分を存在させるために、私たちを参加者として創造するのだ。」
知識、背景を教える本ではありません!
特定のジャンルや作品ではなく、アート全般に通用する鑑賞態度や思考を掘り下げる本です。知識や経験が豊富でなくても、アートの世界に分け入ることができます。
『なぜ世界は存在しないのか』(講談社選書メチエ)等のベストセラーで知られる哲学者が、アートの持つ力の根源に迫る。
【著者】
マルクス・ガブリエル
1980年生まれ。哲学者。29歳で、史上最年少のボン大学哲学科教授に就任。
「意味の場」をキーワードに自身の新しい実在論を展開するほか、シェリングやヴィトゲンシュタイン、ハイデガー等、ドイツ哲学を中心に著作を執筆し、世界的な注目を浴びている。本書のほか、『神話・狂気・哄笑』(堀之内出版、2015年)や、『なぜ世界は存在しないのか』(講談社、2018年)等の訳書多数。
目次
序文 ベルナール・ジェニエス
アートの力
アートの価値
美学と知覚
パフォーマンスとしての解釈
自律性、ラディカルな自律性、オリジナリティ
アートと(権)力
補論 懐疑のアート、アートの懐疑
訳者解説 大池 惣太郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MICKE
9
「芸術はラディカルに自立する」、これさえわかれば、これさえわかれば、、。2023/07/13
クサバナリスト
8
どんなアート作品にも共通に備わる内容など存在しない。 アート作品が何であるかを事前にきめることは誰にも決してできない。なぜなら、アート作品は特定の見方や秩序に属さず、それ自体が「絶対者」として、独自の秩序そんものとして存在しているからだ。 アート作品と自分がどう出会うのかを決めるのはアート作品の方だ。作品と出会うという出来事は、作品について何か自分なりの意見や観点を持つことではないのだ。そうではなく、それはそのまま作品の存在に立ち向かうということなのである。2023/07/08
shin_ash
4
最近マイブームのマルクス・ガブリエルの芸術哲学に関する本である。訳者の解説まで読んで、ようやくそう言う意味かと何となく理解できた程度の理解であるが、倫理資本主義より読み応えがあった。倫理資本主義と同じく哲学色を薄めて書いているが、それよりはロジックは細かい。アートに対する新実在論の適用の試み故だろう。美術史学で用いられる“アートの見方”の様な作品鑑賞のガイドライン的なものは確かにあるし手がかりにはなるが、確かに作品と対峙した時の、その作品が強制する力がアートなのかもしれない。それは確かにラディカルに自律し2025/05/24
かじかじ。
4
マルクス・ガブリエルがアートについて哲学する本を出版した。彼の独特の感性と考え方が好きだったので、本書を手に取った。この本を読むとアートの共通的見方というファインダーから見るものではなく、自分自身がアートの中に入り感じるものがアートとしての実在であり、人により受け取り方が違うことの問題は排除しているように感じた。アートはいわば人を覚醒する触媒なような感覚を受け、それ自体がいい悪いはないんだろうとも思った。ただ政治については違うようだがそれば風刺がきいたご愛嬌かと。2023/06/20
じゅんすいむく
3
アートも人間も自律してるが、その自律のあり方は異なるという視点が新鮮だった。アートはラディカルに自律してるが、人間の自律は「人間性」という普遍的な構造を前提にしたものなのだという。また更に、人生とアートを一致させようという試みは人間性という普遍性の否定、すなわち必ず悪に至るとも言っている。この辺の人間性を巡る議論はカントに依るらしく、カントは人間における独創性の否定にまで至っているらしい。いずれにせよ大変興味深かった。2024/10/25
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