内容説明
本書所収のエッセイ「林檎の味」では感覚の本質、「数学とは何か」では公理主義と抽象化、「四色の地図」は集合論、数学基礎論、位置解析学と展開して四色問題に及ぶ。日常の何気ない生活のなかにこそ数学の抽象的な概念は生起し、そこに数学の影を認めることができると著者は説く。影の裡にある無限の広がりと深さを縦横無尽かつ軽妙に綴った数学エッセイ。第1回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。
目次
序/第一章 価値形態論/第二章 交換過程論/第三章 貨幣系譜論/第四章 恐慌論/第五章 危機論/後記/文庫版への後記/索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
53
仕事の車中の待機中に楽しんできた。書かれたのは1940年代から50年代まで。 吉田洋一と云えば、知る人ぞ知る『零の発見』という超ロングセラーの著者。吾輩も中学生の頃に手を出したものだ。本書で知ったのだが、かの中谷宇吉郎らと共に北海道帝国大学の理学部設置にあたり、教官候補生の一人に選定された方。寺田虎彦の肉声(講演)を聴いたこともあるという。羨ましい。これらのどなたも名随筆家である。2024/12/08
やいっち
7
仕事の車中の待機中に楽しんできた。書かれたのは1940年代から50年代まで。 吉田洋一と云えば、知る人ぞ知る『零の発見』という超ロングセラーの著者。吾輩も中学生の頃に手を出したものだ。本書で知ったのだが、かの中谷宇吉郎らと共に北海道帝国大学の理学部設置にあたり、教官候補生の一人に選定された方。寺田虎彦の肉声(講演)を聴いたこともあるという。羨ましい。これらのどなたも名随筆家である。2024/12/08
コチ吉
7
「数学の影絵」とは何とも魅力的なタイトルだ。日常の何気ない出来事が数学という灯りでぼんやりと照らされる。時としてそれが思いもよらない光景を見せ始める。数学と文学を考証した「俳句と私」は面白い。数学者の書く文章は別の意味で味わいがある。 2023/04/22
kana0202
3
数字は二つのものの共通なもののことというのが面白い。あと最後の方の非常に短い随筆もなかなか味わい深い。2023/02/15