内容説明
もう一度、生き直すために
人文学は役に立たないと言われて久しい。一方、それぞれの分野では、複雑化と専門化が進行して、一般の読者との距離は開くばかりだ。
私たちはなぜ学ぶのか? そして、どう生きていくのか?
いつしか人文学の現場で問われなくなった問いかけに本書は立ち返る。それは単なるアウトリーチや学問の社会的還元ではない。むしろ、学ぶことの本質に関わる。
本書は、高知県立大学文化学部で開講している「米文化・文学論」を書籍化したものである。
思想や文学の根本問題は「自分自身がどう生きるか」にある――ここから本書では、アメリカの「声」に耳をすませる。フランクリン、トマス・ペイン、エマソン、ソロー、ホイットマン、そしてアンダーソン。彼らの声に耳をすませることで、自分の内側にも反響する声を聴き取り、そこから意識的に自身の「ネイチャー(自然・本性)」に基づいた生き方を探っていく。
人間の成熟は、自分の内側にたくさんの人の生、たくさんの人の声を取り込んでいくことであり、多くの声を「聴く」ことで、「いま・ここ」とは別のアナザー・ポシビリティの可能性が見えてくる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
チェアー
6
この本でおおまかな米文学史が見えてくる。そう、米文学は独立戦争以降しかないのだ。 心惹かれたのはシャーウッド・アンダーソン。心情が最も現代に近いように感じるから。引用されている「手」は素晴らしい。伊藤比呂美との対談も面白い。詩人が米文学を自分の道の中でどう位置付けているのかが分かる。2023/03/14
フクロウ
2
「自らのネイチャー(本性)」の外部表出こそが「声」であり、それに従って生きることこそが何より大切なことである。そうして「自らのネイチャー」は十人十色のはずであるからそのような「ネイチャー」の存在を所与とする以上は、様々な「ネイチャー」を持つ個人たち(=独立した原子)が相矛盾しつつ共存するデモクラシーの体制を必然的に帰結する。これらは原子の真空落下モデルと偶然の偏奇を思考の起点に、人間関係を含め自然体でいることを追求することで快楽=ストレス除去を目指したエピクロスの思想に繋がる。またスピノザ、漱石とも似る。2023/05/10




