犠牲の森で 大江健三郎の死生観

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犠牲の森で 大江健三郎の死生観

  • 著者名:菊間晴子【著】
  • 価格 ¥5,280(本体¥4,800)
  • 東京大学出版会(2023/05発売)
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  • ISBN:9784130860642

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内容説明

【第12回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】
「死生観」という切り口から、作家の全体像に迫る

大江健三郎という作家の全体を、「犠牲」のテーマから一貫して解釈しえた画期的研究。イメージ分析を主軸として、様々な領域のテクストからの影響、同時代的な社会状況、故郷の歴史・空間性などを踏まえて、大江作品における死生観を詳細に描き出す。


【阿部公彦(東京大学教授)東京大学南原繁記念出版賞授賞時講評より】
「おもしろいのは、菊間さんのアプローチが大江作品に内在する具体性と抽象性の独特な拮抗を半ば模倣するようにして展開することである。[…]言葉やイメージに徹底的に接近し寄り添うことで、犠牲となった獣の血なまぐささに追い立てられた人物たちの空間感覚を論考中にいわば写し取るのである。そうやって土台のところで論の具体性を確保した上で、より大きな総論へと進む。そこではちょうど大江の人物たちが「総体」との一体化を目指すのと同じように、大江健三郎という作家の全体を視野におさめた議論が展開する。」


【主要目次】
序論 「死生観」から大江を読む

第I部 「壊す人」の多面性――『同時代ゲーム』
第一章 『同時代ゲーム』の背景
第二章 「犬ほどの大きさのもの」
第三章 「暗い巨人」への帰依
第四章 「森」という神秘のトポス

第II部 犠牲獣の亡霊
第一章 皮を剥がれた獣たち
第二章 「御霊」を生むまなざし
第三章 隠された「生首」
第四章 「後期の仕事(レイト・ワーク)」における亡霊との対話

第III部 「総体」をめぐる想像力
第一章 自己犠牲と救済
第二章 救済を担う大樹
第三章 聖なる窪地と亡霊たち
補論 テン窪を探して
第四章 「神」なき「祈り」の場

結論 「犠牲の森」の変容

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かふ

23
図書館本なのでそろそろまとめて返却しないと。犠牲というのは大江健三郎が生きた戦後世代の学生運動とか三島由紀夫の自決とかそういう歴史を動物をメタファーとして、中心の物語には回収されない辺境の物語として四国の森の鎮魂としての物語が描かれたのだと思う。それは大きな物語に回収されてはならない個人的体験であり、そして「晩年の仕事」での文学の読み直し語り直し繋がっていくのだ。工藤庸子『大江健三郎と「晩年の仕事」』、尾崎真理子『大江健三郎の「義」』の中間ぐらいの批評かな。グノーシス的なエリアーデが参考になるのかな?2024/02/12

トマス

2
『同時代ゲーム』を起点に犠牲と亡霊性、そして魂の総体という軸を設定し、全期間を射程に大江の死生観を丁寧に読み解く。『宙返り』での書き直しが「後期の仕事」への必然的な転換をもたらしたという指摘が特に興味深い。2024/01/27

belier

1
この本は、著者の博士論文に加筆修正を施したものだという。修士課程から約10年にわたった研究の成果らしい。おかげで多くのことが参考になった。この本の主題ではないかもしれないが、最近『宙返り』再読したばかりのため、「テン窪」に関する解説が特にありがたいものだった。現地を調査してのモデルの問題、作品によって描かれ方の違いなど、なるほどと靄が晴れるような感覚だった。主題であろう犠牲についての記述も興味深く読んだ。『同時代ゲーム』等を再読するときにまた参考にせねば。2024/12/30

かんな

0
仕事中にふと考える。生と死の意味。2024/05/11

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