内容説明
0と1で世界のすべてを記述することは本当に可能か。デジタルの限界が露わになる時、アナログの秘めたる力が回帰する――。カヤックビルダーとしても著名な科学史家が博覧強記を揮い、ライプニッツからポストAIまで自然・人間・機械のもつれあう運命を描く
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Meme
14
監訳者解説の一部を読んで、なんとか頭では理解できたような気がしています。「まだわれわれが意識していない未知の原理にどう向かうかは、デジタルを超えた、いわゆる現在はアナログという言葉で一括りにされている何かなのだ」「テクノロジーが自然を模倣すしながら高度化することで、デジタル化したはずの社会がより自然に近いアナログな姿に回帰していく」多くのテクノロジストが、自然と触れ合う一面を大切にしている背景は、こうした側面にあるんではないかと思いました。2023/06/08
coldsurgeon
6
難しい命題を持った本だった。デジタルコンピューティングが興隆し全盛期へと、そして更なるステップアップを迎えるかもしれない時代において、デジタルのもつ限界とその先に生まれるかもしれなアナログコンピューティングの世界を垣間見る必要はある。デジタルは2進法に始まり、その起源は古代中国の易経の六四卦にあるという。17世紀のライプニッツによる2進法による計算機の提案がコンピューター開発の始原にもなっている。デジタルは数えることが可能な2進法ではあるが、自然界は数えることができない実数系なので、アナログへ進むのだろう2023/06/03
みみりん
4
想像していた内容ではなくて最後まで読めなかった。アナロジアとはアナログの語源になったギリシャ語だそうだ。AIの次に来るのはアナログということなのか?我々が知ることもできない何千万年もの人類の歴史があって今がある。それを考えたら500年前だって少し前のことにすぎない。それでも多くの命の犠牲があってここまで来たということだけわかった。2024/01/21
Shori
2
一章ごとの内容はわかっても、全体論旨を掴むのに苦労した。デジタル機器に染まり切った身として、デジタル概念を相対化する視点に入り込めなくなっているとしたら、恐ろしい。30mのツリーハウスで3年間暮らす著者、核爆弾で宇宙船を飛ばし太陽系探査を計画した父、乳母はアインシュタインの秘書…と破天荒。2024/01/12
エジー@中小企業診断士
2
アルゴリズムの時代は終わった。アナログ・コンピューティングとデジタル・コンピューティングの違いは根本的だが絶対的なものではない。アナログ・コンピューティングは、時間の経過とともに値がなめらかに変化する連続関数を扱う。デジタル・コンピューティングは、ある瞬間と次の瞬間の間に精確に値が変化する離散的な関数を扱う。真の機械知能の進化と制御において、テクノロジーは自然を手本にする。連続体仮説によるデジタルの先にある世界を問う。次の革命はアナログ・システムの台頭であり、デジタルプログラミングの支配が終わりを告げる。2023/11/05