賢人と奴隷とバカ

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賢人と奴隷とバカ

  • 著者名:酒井隆史【著】
  • 価格 ¥2,970(本体¥2,700)
  • 亜紀書房(2023/05発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784750517872

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内容説明

「ニッポンにいるのは、賢人気取りばかりだ」

「ポピュリズム」「反知性主義」「ポスト・トゥルース」
時代を「象徴」する言説に潜む〈大衆への差別的なまなざし〉。
資本主義×知識人が一体となって管理・支配しようとする現況を問い、近代社会の土台に存在する、無名の人びとが蓄積してきた知や技術に光を当てる。

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◆「中立」の立場から差別する過激中道[エキストリーム・センター]
◆ 平等を求める動きへのシニシズム
◆ 格差と対立を無視し、円滑な社会運営を志す「秩序派」
◆ 愚かな群衆に囲まれていると感じるリベラル知識人のナルシズム

知的ソースをあげて、スマートに切って捨てる態度、利得と犠牲の計算のような知的操作で、割り切ってみせる態度は根本的には、この世界とは別の世界にむかう衝動や想像力にむけられているようにおもわれるのである。

〈支配する知ではなく、解放する知を求めて〉
──私たちが生き延びるための唯一の方法はデモクラシーを深化させることである。


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【目次】
◆はじめに……賢人とドレイとバカ 二〇二三年、春

第I部 無知と知、あるいは「大衆の恐怖」について
 01.現代日本の「反・反知性主義」?
 02.「反知性主義」批判の波動──ホフスタッターとラッシュ
 03.ピープルなきところ、ポピュリズムあり──デモクラシーと階級闘争
 04.「この民主主義を守ろうという方法によっては この民主主義を守ることはできない」──丸山眞男とデモスの力能
 05.一九六八年と「事後の生(afterlives)」──津村喬『横議横行論』によせて
 06.「「穏健派」とは、世界で最も穏健じゃない人たちのことだ」──「エキセン現象」をめぐる、なにやらえらそうな人とそうじゃない人の「対話」

第II部 だれがなにに隷従するのか
 07.「放射脳」を擁護する
 08.「しがみつく者たち」に──水俣・足尾銅山・福島から
 09.自発的隷従論を再考する
 10.「自由を行使する能力のないものには自由は与えられない」──二〇一八年「京大立て看問題」をどう考えるか
 11.「中立的で抑制的」──維新の会と研究者たち
 12.「この町がなくなれば居場所はない」──映画『月夜釡合戦』と釡ヶ崎

第III部 この世界の外に──抵抗と逃走
 13.「ブラジルで のブレザーなんて着たがるヤツはいない。 殴り倒されるからだ」──二〇二〇年東京オリンピックをめぐる概観
 14. 戦術しかない/戦略しかない──二〇一〇年代の路上における二つの趨勢
 15.「わたしは逃げながら、武器を探すのです」──ジョージ・ジャクソン、アボリショニズム、そしてフランスにおける「権力批判」の起源について
 16.ポリシング、人種資本主義、#BlackLivesMatter
 17.パンデミックと〈資本〉とその宿主
 18.「世界の終わりは資本主義の勝利とともにはじまった」──文明に生の欲動をもたらすもの
 19.すべてのオメラスから歩み去る人びとへ──反平等の時代と外部への想像力

◆あとがき

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

hiroizm

22
「負債論」「万物の黎明」などディビッド・グレーバーの翻訳でも知られる社会思想史学者の、一般誌に掲載された硬派な社会時評エッセイ集。主たる論調は196,70年代から現在まで社会に影響を与えている新自由主義思想に対する批判だが、その内容は反知性主義、大衆論、ポピュリズム批判、日本社会の保守化内向化現象と幅広く深い。大阪維新の政策に賛同を示した日本の社会学者の対談を事例に上げつつ、中立穏健を主張しながら結局は保守派の片棒を担ぐ穏健派批判など、最近話題の極中道論が印象に残った。2024/12/13

Mc6ρ助

18
『なぜ日本ではCOVID- パンデミック初期の時点で、PCR検査と隔離というグローバル標準の方法が避けられたのだろう。・・海外の諸国で標準的にみられた施策は、可能なかぎり感染を食い止めるために緊急に病床を増大させること、たとえば、プレハブの病院を建築する・・などがおこなわれた。・・わたしたちのこの日本が異様だったのは、・・あいかわらず医療崩壊を避けるためといった口実をそのままに、感染症対策を最低限ですませようとしたことである(p432)』理由は述べられているはずが、難しく、爺さまには理解が及ばない、日本。2023/11/28

Satoshi

13
秀逸なタイトルのエッセイ集。様々な媒体に投稿されているが、大阪維新といった歪んだポピュリズム批判という点は一貫性がある。大多数の意見に追従し、弱者の抵抗を冷笑する知識人。右でも左でもない中道のエクストリームが問題である。支配者は二元論を持ち出す。その手口に嵌まらないように気をつけたい。取り急ぎ、アシュラ・ル・グインの風の十二方位を購入しよう。2024/08/11

takao

5
ふむ2024/05/11

ひつまぶし

5
二項対立を突きつける側に立つことで支配権を握ろうとする輩の手口に乗らずにどう対抗するのかを、様々な事例から考察し、示唆を与えてくれる。上っ面の議論ではなく、根源的なところを理解した上でなければ、実際の現象を読み解くことはできない。「健全な病理形態」としてのポピュリズム理解、運動から闘争を解放するための「戦術がすべて」という立場、ウイルスのように人間に寄生しながらも、宿主を全滅させることもいとわない〈資本〉というものの性質など、心得ておけば世界の見え方も立ち向かい方も刷新できるであろう教訓が満載だった。2023/05/05

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