内容説明
考古学会の新進として注目されていたZ大助教授・江村宗三は、松山の老舗商店に嫁いだ元兄嫁の美奈子と度々逢瀬を重ねていた。しかし、2 人で計画した瀬戸内海旅行の中で、美奈子は宗三に妊娠を告げる。「もう松山には戻れないわ。あなたなしには生きてゆかれなくなったわ」……子を産む決意だというが、それは宗三の学界からの追放を意味した。宗三は美奈子の殺害を計画するが――。男女の愛憎心理を鋭くえぐる松本清張の傑作長編推理。ほか一遍収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そうたそ
10
★★★☆☆ 考古学界の新進にして大学助教授の宗三は元兄嫁の美奈子と度々逢瀬を重ねる。その不倫の様な関係を宗三が程良く思っている中、美奈子から妊娠を告げられたことで、次第に美奈子の存在が邪魔になり殺害を計画することに――。筋はシンプル。だが愛憎絡めた男女関係が丁寧に描かれており、中編ほどいう長さながら、その中身は濃密。終盤、徐々に真相に迫られていく中での緊迫感はさすが。結末あたりの展開は偶然が過ぎるだろう、とは思うが、それを除いてもやはり清張ミステリにはいつもながら引き込まれてしまう。2025/06/14
いづむ
10
剥き出しの欲望と短絡的な凶暴性、昭和の犯罪と人間のなまなましさをこっそり覗き見たかったら松本清張で間違いなし。瀬戸内海を臨む景色の美しさと中年の男女が深みにはまる情愛のドロドロが対比される「内海の輪」、肉体の魅力で男を動かし自らの地位を固めていく女のすさまじさを描く「死んだ馬」の2編収録。2023/10/23
しん君
7
きっかけは表題作のドラマ(2001年版)。逢瀬を重ねる元義理の姉と弟。不倫旅行で妊娠を告げら、教授への道も絶たれてしまう…。男性目線の昭和の不倫小説と思いきや、これより先はサスペンス。突然終る以外は予想通りの結末。自業自得だ。もう一編は、働いても働いてもその稼ぎを彼女に吸い上げられる 『死んだ馬』二編とも愛欲の果てに破滅するパターン。2024/07/11
chuji
5
久喜市立中央図書館の本。2023年5月改版初版。『内海の輪』は「週刊朝日」1968年2月16日号~10月25日号。『黒の様式』第六話「霧笛の町」として連載され1969年5月中編集『内海の輪』表題作として改題し収録されたもの。『死んだ馬』は初出 「小説宝石」1969年3月号。松本清張さんの著作はあまり縁がなかったが、男女の愛憎も描いていたのですねぇ、社会派ミステリーが本領と思っていました。2023/08/02
ランラン
4
男性の色好きと出世欲がからむ話であり隠ぺい工作が次第に崩れていくスリルはドキドキ感がある。2025/05/26
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