内容説明
日常に退屈した者が集い、世に秘められた珍奇な話や猟奇譚を披露する「赤い部屋」。新会員のT氏は、これまで九十九人の命を奪ったという恐るべき〈殺人遊戯〉について語りはじめる……。江戸川乱歩の名作短篇「赤い部屋」に捧げる表題作ほか、著者が敬愛する作品へのオマージュだけを集めた、ミステリファンにはたまらない全九篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
71
古今東西の名作ミステリを法月さんがオマージュした物語。しかしただのオマージュではなく法月さんらしいウィットを利かせて再構築したストーリーはどれも極上の仕上がり。表題作の『赤い部屋異聞』は江戸川乱歩の「赤い部屋」から。法に触れない安全至極な殺人を繰り返して99人の命を奪ったと豪語する男の運命はいかに。乱歩の世界観を踏襲しながらブラックユーモアを利かせたオチには瞠目。ウールリッチのオマージュ『砂時計の伝言』も20ページ程度の短さながら意表をつくラストが面白い。どれも懲りにこった仕掛けに舌鼓を打つ絶品短編集。 2023/07/15
藤月はな(灯れ松明の火)
54
江戸川乱歩の『赤い部屋』が課題図書だった読書会で関連書物として紹介された本でした。猟奇に耽溺する遊蕩の志によって作り上げられた秘密倶楽部「赤い部屋」。そこでの異様な告白劇は幕が引かれた筈だった。だが・・・。『赤い部屋』を読んでいた時に思い至らなかった盲点に驚愕したが、それ以上にある真実の仄めかしが衝撃的だ。果たして「赤い部屋」で凝り、熟成された猟奇は憑りついたのだろうか。更にその後もジョン・コリアー、ウィリアム・アイリッシュ、コルタサル、都筑道夫、落語などのパスティーシュが収録されているのは嬉しい誤算。2025/04/19
雨
32
名作のオマージュ。表題作は何かで読んだ。法月綸太郎先生の作品は久しぶりだったけど面白かったな。2023/06/03
備忘録
24
オマージュ作の短編を集めた短編集 各話事に著者による解説も有り 全編乱歩オマージュかと思ったら最初のみだった とはいえ元を未読でも問題は無し 全体的にミステリのようなブラックユーモアのような余韻の結末が多い印象2025/11/14
マツユキ
21
法月さんの短編を読むのは初めて。オマージュとなった作品はどれも読んでいませんでしたが、問題なく読めました。ミステリ好きとしてはもちろん、怪奇、SF好きとしても楽しめる作品でした。2023/12/06




