ブルーバックス<br> DEEP LIFE 海底下生命圏 生命存在の限界はどこにあるのか

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ブルーバックス
DEEP LIFE 海底下生命圏 生命存在の限界はどこにあるのか

  • 著者名:稲垣史生【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 特価 ¥598(本体¥544)
  • 講談社(2023/05発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065319338

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内容説明

これまで生命が存在しないと思われていた「海底地下の世界」。
しかし、そこには地上を超える豊かな「生命圏」が広がっていた!

海底下の掘削調査で採取された「地質コア試料」から発見されたさまざまな微生物群。
・微生物たちはいつからそこにいて?
・なにから栄養を摂っているのか?
・なぜ超高温・超高圧(アッチアチのカッチカチ)の世界に耐えられのか?
これらの謎を追っていくと、そこには、これまで考えられていた生命観とは違った「生命システム」が見えてきます!

海底下深部からの地質コア試料から培養された古細菌(アーキア)には、御年・数千万歳を超えるものも!!
120度以上の高温、海底下2000メートルの高圧世界でも生き続ける!
食べるものがない「超貧栄養状態」を微生物たちは、どのようにサバイブしているのか!?
微生物の生命維持の限界はどこにあるのか?

地球科学はもちろん、生命の起源やその存続の謎へと迫っていくサイエンスのおもしろさを、実際に行われた「海底下生命圏科学掘削調査」の歴史とともに臨場感あふれる筆致で紹介していきます。

著者は、大学院生時代に出逢った科学誌「science」に掲載された「海底下地質サンプルからの微生物発見」の論文に衝撃を受け、その後、さまざまな科学掘削調査に参加、さらに海洋研究開発機構(JAMSTEC)が運用する地球深部探査船「ちきゅう」の調査航海を指揮しながら、極限環境に生きる微生物の調査を行っている研究者です。

海底地下の世界から「生命とは何か」という根源的な問いをもとに、「地球-生命システム」という大きな展望へと広がっていく、サイエンスのフロティアを紹介します!

目次

プロローグ 海底下の世界にようこそ!
第1章 海底下の住人はだれ?――ペルー沖海底下生命圏探査
地球微生物学との出会い
海洋科学掘削とその歴史
旅立ち:サンディエゴからバルパライソへ
はじめてのジョイデス・レゾリューション号乗船記
未知の海底下生命圏へ突き進め
海底下の住人はだれ?
コラム1 海洋フロンティア開拓の歴史
第2章 1億年以上前から生きている!?――南太平洋環流域海底下生命探査
海の砂漠とは
酸素の行方を追え:タヒチからオークランドへ
超スローライフの発見:長生きの秘訣とは?
キッツキツの世界:微生物は隙間がスキ
コラム2 紺碧の海とゴミパッチ問題
第3章 生命存在の限界を探る――下北八戸沖石炭層生命圏探査
地球深部探査船「ちきゅう」の門出
あの日の「ちきゅう」
下北八戸沖の海底下で何がおきているのか
海底下の森は生きていた
培養はできるのか?
古代きのこがニョッキ!?
絶滅の危機:なぜバイオマスは急激に低下したのか?
コラム3 海底エネルギー資源と微生物
第4章 生命の温度限界に挑む――室戸沖温度限界生命圏探査(T-リミット)
CHIKYU+10でのひらめき
室戸岬沖の海底下で何がおきているのか
キッツキツでアッツアツの世界
胞子になって生き残る
海底下深部の超好熱性微生物生態系とは何か
限界生命圏で生きていくには
コラム4 海底下生命圏を紡ぐ蜘蛛の糸
第5章 海底下生命圏とは何か
海底下の生命居住可能空間と微生物量
バクテリア×アーキアの論争
表層世界に匹敵する海底下生命圏の多様性
培養された海底下の住人:ベスト5
コラム5 世にも奇妙な冥界の主と常識外れな地下生命体
第6章 まだ見ぬ先へ――海洋・地球・生命フロンティア科学の挑戦
海底下の海:海洋地殻内の生命圏フロンティア
マントル到達に必要な技術
M2Mミッションとハワイ沖パイロット孔掘削プロジェクト
海底下生命圏探査と地球外生命探査
コラム6 特別寄稿--平朝彦「知球好子さんのその後」
エピローグ 地球―人間システムの未来に向けて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

90
本書は著者の専門の地球微生物学、特に深海底下の生命圏と、研究のため乗船した科学掘削船について解説している。生命圏については深海底下の地層内、高温高圧の環境の中でも想像以上に生命が存在することを示しているが、詳細は、素人(わたし)には難しかった。(図表も論文掲載版と思われ、細かく読み取り困難)別の機会にでも、もう少し易しい解説期待。他方、海洋科学掘削船とそのミッションについては本人が乗船参加したJR(ジョイデス・リゾリューション)号と地球深部探査船「ちきゅう」について、実際の体験に基づき探査船の機能と⇒2023/05/27

やいっち

79
海に惹かれる。海底となればなおのこと。本書は深い海の底を掘削して未知の生物圏を探求案内してくれる。宇宙に生命の誕生を探るロマンも好きだが、直下の岩盤やマントルに生命の想像を超える世界を探るのもロマンあるよね。2023/10/19

塩崎ツトム

24
海底堆積物や玄武岩間隙に住むとんでもない生物圏。その代謝の奇妙さや生態も摩訶不思議だけど、石炭層からかつての真菌が再生されるとは。海底はガラパゴスであるし、ロストワールドでもあったのだ。2023/09/22

石油監査人

21
著者は、地球微生物学者でJAMSTEC高知コア研究所地下生命圏研究グループリーダー。この本では、地下深くに生息している細菌や古細菌、バクテリアなどの微生物の生態やその探査プロジェクトについて解説しています。例えば、太平洋の水深約1千メートルの深海底から約2千メートルを掘り進んだところにも生命は存在しています。推定年齢1億歳の微生物や、120度の高温、100~150気圧の高圧を好む細菌など、不思議な生物たちが存在する地下世界を目の当たりにすると、本当に生命の生存限界がどこにあるのか分からなくなってきます。2023/10/09

K.H.

16
表紙を見て深海魚的な話かな、と思って手に取ったところまったく違った。海底のさらに地下に生きている微少生物の発見記録である。あまりにも遠い世界の、想像もしていなかった「生命圏」の話には少々置いてけぼりを食らった感もあるものの、描写は活きいきとしているし、日本の地球深部探査船「ちきゅう」の活動についても知れて、なかなか楽しい本だった。2024/04/30

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