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内容説明
夏の初め、6年生の佳斗は、おばあちゃんの住んでいた家に引越してきた。
おばあちゃんは冬に亡くなって、もういない。
でも、おばあちゃんのネコのテンちゃんがなついてくれたので、佳斗はうれしかった。
ところが、テンちゃんは急に、家に帰ってこなくなった。
佳斗は、はり紙やチラシを作って、「ネコさがし」を始める。
「ネコさがし」の途中で出会った、同い年のちょっと変わった少年、蘭が、「手伝ってやる」と言ってくれた。
蘭は、よくおばあちゃんを車椅子で散歩させているから、町にいるネコにくわしいのだという。
二人でネコをさがすうちに、佳斗はこの町について、自分と蘭の家族について、さまざまな発見をして…?
喪失から立ち直り、自分の世界を広げていく十二歳の少年をみずみずしく描いた、心に残る物語。
『ハルと歩いた』の西田俊也が贈る、感動の1冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケ・セラ・セラ
23
7月の終わり、亡くなった祖母が住んでいた家に引っ越してきた6年生の佳斗。姿を見せなくなった外猫テンちゃんを探しながら歩くことで祖母との思い出をたどり、老人たちの多い町で人にふれ、いろいろなことを感じ吸収していく。ノラ、外猫問題、一緒にテンちゃん探しをしてくれるようになった少年蘭の認知症の祖母の存在、さらに戦時中の話など。少年のひと夏を描いた作品に多くのものがつまっている。2023/08/13
雪丸 風人
14
主人公は学校になじめない小6男子。不安を抱えたまま引越しすることになった彼が、亡き祖母の飼いネコの縁でとびきりの仲間に出会い、心に刻まれる夏を過ごします。作中に「思い出は自分を守ってくれる大切な友達みたいなもの」という言葉がありましたね。主人公が思い出と友達の両方を得られる展開が素敵だったな~。戦時中に犬猫やウサギまで軍に持っていかれたという悲しい歴史はこの本に教えられました。認知症の老人とのかかわりもこの本の重要テーマでしたね。子どもにとっても学びの多い一冊になりそうです。(対象年齢は11歳以上かな?)2023/08/31
奏
9
六年生の夏休み、亡くなった祖母が住んでいた家に引越してきた佳斗。いなくなってしまった猫のテンちゃんを街中探していると、認知症の祖母の世話をする同じ学年の蘭と出会う。蘭の祖母との交流や街のお年寄りと話すことで、死んでしまった自分の祖母に思いをはせる。死について、蘭の祖母の戦時下の体験、野良猫や保護猫などテーマの切り口は盛りだくさんで読み応えがある。猫のような男の子、蘭がとても魅力的!夏にぴったりの物語。2023/08/14
timeturner
8
新しい町に引っ越してきたばかりの少年がいなくなったネコを探して歩き回ることで人と知り合い、町になじんでいく話。大好きな人との死別、認知症、ヤングケアラー、外国人排斥、猫狩り、戦時中のペット徴収まで盛沢山な内容だった。2023/07/11
夏海
7
久しぶりに完成度の高い王道児童文学を読みました。色々なテーマを盛り込みながらも決して押し付けがましくなく物語にうまく調和されていました。ネコを探すという冒険のワクワクしたところもあり、夏のノスタルジーを感じるところもあり、心が温まるとても素敵なお話でした。あとがきもまたよかったです。スカイエマさんの表紙もイメージ通りでとっても素敵!2023/09/10