内容説明
気候安全保障とは、気候変動が遠因となって起きる紛争や暴動から国や社会を守ること。気候変動は、それに伴う異常気象や自然災害が人や社会にとって直接的な脅威となるだけでなく、他の様々な経路を通じて間接的にも人間社会の平和と繁栄に対する脅威を増幅しうるのです。しかし、気候変動と紛争との関係については、未だ不明な部分が多い。気候変動が紛争を引き起こすとすれば、どのようなメカニズムによるのか? 気候変動が紛争に結びつく特定の条件があるのだろうか? 気候変動が遠因とされる紛争とは、どのような事例なのか? 今後数十年内に世界はどのような気候安全保障リスクに直面する可能性があるのか? 本書は、これらの問いに答える最先端の国際政治経済分析です。
目次
I 気候安全保障論の背景
II 気候変動と紛争との相関
III 気候変動と紛争を結ぶ経路
IV 気候安全保障リスクと社会の脆弱性
V 気候変動と紛争をめぐる論争
VI 気候変動対策がもたらす地政学上の変化
VII アジア太平洋地域の気候安全保障リスク
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
104
日本中が猛暑と水害に苦しんでいるが、海外でも自然災害が相次ぐなど地球規模の気候変動は誰の目にも明らかになってきた。異常気象は暴動や紛争を引き起こし、食糧危機や民族対立を招き気候難民が発生するほど国際政治に大きな影響を及ぼしている。容赦ない現実を前に各国はサミットや国連で議論するが、脱炭素やエネルギー転換政策自体が対立要因となり自国の利益を最優先して一致した対応はとれず気候の地政学的リスクは増すばかりという。民主主義や自由貿易体制の危機を前に、今こそ気候安全保障とリスク管理を改めて考えるべき時期が来ている。2023/07/30
Tadashi ANDO
1
ちょっと学術書だな2023/11/09
Jun Morita
1
気候変動が紛争等の問題を引き起こすメカニズムを分析する研究の最前線について書かれた本。気温上昇に起因する異常気象や災害、旱魃による収量の変化などの物理的な側面だけでなく、脱炭素社会への移行に向けた、例えば気候工学なども紛争発生の要因としています。紛争に至る過程には様々な要因が複雑に絡んでいるので単純な因果関係で示すことは困難だなぁ、と思う一方、気候変動で世界の動きが変化する中で、紛争の火種も変わっていくのだ、という事を考えさせられました。2023/09/22
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