内容説明
しょうゆ,みそ,酒など,日本の伝統調味料づくりに欠かせない巨大な木おけ.日本固有のこの巨大おけを,つくれる職人がいなくなる! 「しょうゆ屋が,おけつくったら,おもろいやん!」――立ち上がったのは小豆島のしょうゆ蔵.最後の職人に弟子入りし,次々に降りかかる困難を乗り越えて,おけづくりの輪を全国に広げた奇跡の奮闘記.
目次
はじめに
第1章 大桶が壊れた日
大桶がたたずむ蔵の世界
むかしむかしから続く物語
ロクロベエさんの子孫,ヤマロクⅸ油
地獄のもろみまぜ
大桶を直せる人も,つくれる人も,もうおらん?
「木桶」の現状
蔵人の宝物,微び生せい物ぶつと木桶
幼なじみに相談
「ⅸ油屋から新桶の注文が入ったのは,戦後初やで」
つきつけられた現実
□ コラム じつはいろいろ,個性的な五種類のⅸ油(職人ⅸ油 高橋万太郎)
第2章 木の声を聴け――絶滅危惧種,木桶
島を出て気付いた,ⅸ油の味の違い
木桶仕込みⅸ油の本拠地,小豆島
絶滅危惧種,木桶
人々の生活に密着していた桶
酒蔵が木桶を使わなくなった
ⅸ油蔵でも使われなくなっていく
過去の遺物になってしまった木桶
藤井製桶所はなぜ生き残ったのか
「技術」と「技能」は違う!
修業に来ても,みんなやめてしまう
この技術を絶やしてもええんか?
木桶をつくることと,木桶で仕込む意味
おもろいか・おもろくないか
幼なじみ,直人さんの決断
□ コラム 木桶仕込みⅸ油って?(ⅸ油ソムリエール 黒島慶子)
第3章 桶ハザマの戦い!――奮闘,桶職人に弟子入り
わしのところ,もうやめるわ
桶づくりの仕事がない!
直人さんの戦い,始まる
たが編みの自主練習
康夫さんの座右の銘「ザ・ファースト」
失敗できない側板削り
たが編みに大苦戦!
「桶屋になれる」
本気の練習
材料集めに大苦戦
天国のじいちゃんからの贈り物
とってもタイヘン,竹取物語
□ コラム 木桶,古今東西(上芝雄史さんのお話)
第4章 木の国,日本――杉とともに歩んできた国
代々,山を守ってきた一族
神話の時代からある杉
日本列島をおおう木々
舟運,食文化の発展の裏に杉あり
結桶参上!
大桶が変えた日本の食文化
木桶とトイレ,都市化の深い関係
農村と都市を行き来した肥船
さまざまな産業で活躍した木桶
酒樽専用の船,樽廻船の活躍
五〇〇年間,杉を守ってきた吉野の人々
杉が桶の材料になるまで
山に人が入ることの意味
木への感謝と祈り
□ コラム 木桶が来た道――シルクロードと海のシルクロード(石村眞一先生のお話)
第5章 木桶に託した未来への手紙
道具の手入れは職人の基本
やるしかない! 側板削り
新桶の組み上げ開始
次々に襲いかかる難問
時間が足りない!
たが入れに挑む
新たな難関,底板づくり
簡単じゃないから,おもろい
最後の大立ち回り「胴突」
未来へ託すもの
昔の職人からのメッセージ
□ コラム 木桶をつないだ細い糸――アメリカから来た台風娘
□ コラム 夢は人間国宝(桶プロ棟梁 坂口直人さんの話)
第6章 風を吹かす桶屋
木桶サミット
蔵元同士が手をつなぐ
うますぎるⅸ油ができてしまった!
理屈だけではわからない,発酵の世界
お祭りになった木桶づくりイベント
選択肢は,やるかするか
チーム福島,始動!
めいっぱいはしゃぐ! 木桶サミット
「みんなでやる」を大切にする
木桶仕込みⅸ油を世界へ
つながっていく木桶の輪
地元の木で桶をつくる
考え続ける
遠きをはかる者
おわりに
参考資料
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yomineko@猫と共に生きる
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