岩波ジュニア新書<br> 巨大おけを絶やすな! 日本の食文化を未来へつなぐ

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岩波ジュニア新書
巨大おけを絶やすな! 日本の食文化を未来へつなぐ

  • 著者名:竹内早希子
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 岩波書店(2023/05発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005009626

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内容説明

しょうゆ,みそ,酒など,日本の伝統調味料づくりに欠かせない巨大な木おけ.日本固有のこの巨大おけを,つくれる職人がいなくなる! 「しょうゆ屋が,おけつくったら,おもろいやん!」――立ち上がったのは小豆島のしょうゆ蔵.最後の職人に弟子入りし,次々に降りかかる困難を乗り越えて,おけづくりの輪を全国に広げた奇跡の奮闘記.

目次

はじめに
第1章 大桶が壊れた日
大桶がたたずむ蔵の世界
むかしむかしから続く物語
ロクロベエさんの子孫,ヤマロクⅸ油
地獄のもろみまぜ
大桶を直せる人も,つくれる人も,もうおらん?
「木桶」の現状
蔵人の宝物,微び生せい物ぶつと木桶
幼なじみに相談
「ⅸ油屋から新桶の注文が入ったのは,戦後初やで」
つきつけられた現実
□ コラム じつはいろいろ,個性的な五種類のⅸ油(職人ⅸ油 高橋万太郎)
第2章 木の声を聴け――絶滅危惧種,木桶
島を出て気付いた,ⅸ油の味の違い
木桶仕込みⅸ油の本拠地,小豆島
絶滅危惧種,木桶
人々の生活に密着していた桶
酒蔵が木桶を使わなくなった
ⅸ油蔵でも使われなくなっていく
過去の遺物になってしまった木桶
藤井製桶所はなぜ生き残ったのか
「技術」と「技能」は違う!
修業に来ても,みんなやめてしまう
この技術を絶やしてもええんか?
木桶をつくることと,木桶で仕込む意味
おもろいか・おもろくないか
幼なじみ,直人さんの決断
□ コラム 木桶仕込みⅸ油って?(ⅸ油ソムリエール 黒島慶子)
第3章 桶ハザマの戦い!――奮闘,桶職人に弟子入り
わしのところ,もうやめるわ
桶づくりの仕事がない!
直人さんの戦い,始まる
たが編みの自主練習
康夫さんの座右の銘「ザ・ファースト」
失敗できない側板削り
たが編みに大苦戦!
「桶屋になれる」
本気の練習
材料集めに大苦戦
天国のじいちゃんからの贈り物
とってもタイヘン,竹取物語
□ コラム 木桶,古今東西(上芝雄史さんのお話)
第4章 木の国,日本――杉とともに歩んできた国
代々,山を守ってきた一族
神話の時代からある杉
日本列島をおおう木々
舟運,食文化の発展の裏に杉あり
結桶参上!
大桶が変えた日本の食文化
木桶とトイレ,都市化の深い関係
農村と都市を行き来した肥船
さまざまな産業で活躍した木桶
酒樽専用の船,樽廻船の活躍
五〇〇年間,杉を守ってきた吉野の人々
杉が桶の材料になるまで
山に人が入ることの意味
木への感謝と祈り
□ コラム 木桶が来た道――シルクロードと海のシルクロード(石村眞一先生のお話)
第5章 木桶に託した未来への手紙
道具の手入れは職人の基本
やるしかない! 側板削り
新桶の組み上げ開始
次々に襲いかかる難問
時間が足りない!
たが入れに挑む
新たな難関,底板づくり
簡単じゃないから,おもろい
最後の大立ち回り「胴突」
未来へ託すもの
昔の職人からのメッセージ
□ コラム 木桶をつないだ細い糸――アメリカから来た台風娘
□ コラム 夢は人間国宝(桶プロ棟梁 坂口直人さんの話)
第6章 風を吹かす桶屋
木桶サミット
蔵元同士が手をつなぐ
うますぎるⅸ油ができてしまった!
理屈だけではわからない,発酵の世界
お祭りになった木桶づくりイベント
選択肢は,やるかするか
チーム福島,始動!
めいっぱいはしゃぐ! 木桶サミット
「みんなでやる」を大切にする
木桶仕込みⅸ油を世界へ
つながっていく木桶の輪
地元の木で桶をつくる
考え続ける
遠きをはかる者
おわりに
参考資料

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぶち

93
木桶は作ったら100年もちます。次の新桶の注文は100年後です。しかも、材料となる杉の木の生育にも、100年かかるんです。なんと効率の悪いビジネスでしょう。桶屋が次々と廃業し、木桶絶滅の状況になっていました。そこで立ち上がったのが小豆島の醤油屋さんです。桶職人の技術、発酵食品、江戸時代のリサイクル、林業の現状… 次々と面白い話題が続いて、一気読みでした。「日本人は目先の利益ばかりを考え、前の世代から受け継いで未来の世代へ技術や文化をつないでいく長期的な視点を失ってしまった」という言葉が強く残りました。2024/03/05

はっせー

82
酒や醤油といった発酵食品が好きな人や何年も続く伝統品について興味がある人におすすめの本になっている!いやー熱い思いがここまで伝わってくる!この本は小豆島の醤油蔵のヤマロク醤油の木桶が壊れた所から話が始まる。その木桶を直そうとしたらそもそも木桶を作れる業者が1社しかなくそして11年後には廃業することが決まっていたのである。そこで有志が立ち上がり木桶を守ろうとして動いて木桶を守ろうとするノンフィクション。最終章の風を吹かす桶屋というタイトルが秀逸。風が吹けば桶屋が儲かるのことわざにかかっている!2023/07/29

yomineko@猫と共に生きる

60
非常に良かった。高さも直径も2m以上ある巨大桶。後継者が不足どころかいなくなり消滅の危機に瀕するが立ち上がった人達がいた!非常に時間がかかる醸造発酵にクレイジーと言い全く理解を示さないGHQ。木桶を不潔と決めつけ使わない様に保健所が通達を出す始末。日本の伝統をなんと心得るのかと怒り爆発な私。下肥を運ぶのにも重宝し、パリやロンドンが汚物の悪臭に見舞われていた頃、江戸の町はとても清潔だった。伝統を絶やしてはならないという思いの人々の努力の結果、藤井製桶製作所@大阪府堺市は営業継続。おいしい醤油や味噌も継続😊2024/03/23

千穂

36
戦後、利便性から日本の醸造業もオートメーション化が進んだ。それはもちろん致し方ないことだが、伝統的な木桶による醸造の衰退により、木桶を作る職人さんも仕事がないから廃業せざるを得なくなる。そんななかで、小豆島にある醤油屋さんが、木桶も自分たちで作ろうとする。醤油、味噌、酢、そして酒、日本の食文化に発酵は欠かせない。手間暇かかる仕事だが伝統を受け継いでいってほしい。岩波ジュニア新書だが、大人が読んでも楽しめる。2023/06/18

糸車

34
小豆島の醤油屋さんが桶を作ると言うドキュメンタリーを見た。杉の桶はとても丈夫で、100年以上持つらしい。裏を返せば滅多に受注がないってことで、次々廃業。醤油桶を作る職人さんの店は日本にただ一軒、しかも廃業が決まっている!その後何度か別の番組でも取り上げられていたが、沢山の疑問が残っていた。情報が少なすぎる。娘も同様だったようで、この本を発見、購入!でかした。桶づくりの修行に向かったのは醤油屋さんと二人の大工さん。実際に教えてもらったのは3日間!材料の杉、真竹を探す苦労にも意外なドラマがありました。感動〜。2023/08/13

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