岩波新書<br> 動物がくれる力 教育,福祉,そして人生

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岩波新書
動物がくれる力 教育,福祉,そして人生

  • 著者名:大塚敦子
  • 価格 ¥1,166(本体¥1,060)
  • 岩波書店(2023/05発売)
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  • ポイント 300pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004319702

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内容説明

犬への読み聞かせは子どもを読書へ誘い,生きづらさを抱える子どもは傷ついた動物をケアする中で学ぶ.保護犬を育て直して若者は生き直し,補助犬は障害のある人の人生を切り拓く.高齢者は犬や猫と共に充実した最期の日々を過ごす.人間にとっての動物の存在を国内外で30年近く取材した著者が,未来に向けて綴る.

目次

はじめに
序章 動物との暮らしがもたらすもの
人と動物が暮らすこと/「動物介在介入」とは/「ワンヘルス」と「ワンウェルフェア」
第1章 子どもの教育と動物
1 他者への心の回路を開く
JAHAのふれあい授業/犬の立場になって考えてみる/不登校の児童がきっかけとなった学校犬の導入/学校生活の一部/教育の効果は、すぐには測れない/学校犬を導入する条件/欧米のスクールドッグ/学校での動物飼育/自然の中でおこなう療育/犬と猫が活躍する動物介在活動/乗馬セラピー/動物は未知のものへの興味をかき立てる/自然に親しむ子どもの減少/子どもたちと自然界をつなぐ
2 子どもの学びを支援する
読書教育のニーズが高いアメリカ/犬が相手なら安心して読める/子どものセルフ・エスティーム/子どもの読書にもたらす効果/日本初のR.E.A.D.プログラム/三鷹市立図書館の「わん!だふる読書体験」/共感力を育む、ふれあい教室/犬のために本を選ぶ/広がる犬への読み聞かせ/シェルターにいる動物に子どもが本を読む/保護猫の社会化のために
第2章 困難を抱える子どもを支える
1 自然の中での癒しと学び
先駆者、グリーン・チムニーズ/動物や自然の力を借りて/慈しむ心を見出す/自然を介したメタファー/すべての生き物と環境を大切に/動物福祉と児童福祉に貢献する「わすれな草農場」/虐待からの回復をめざして/やさしくすることを学ぶ/ボランティアの大きな役割/動物を介した職業訓練
2 司法の場で子どもを支える
裁判所に犬が来る/広がるコートハウス・ファシリティドッグ/子どもに寄り添う付添犬/虐待を話す苦痛を減らすために
3 生きづらさを抱える若者の自立支援
人と動物双方の福祉をめざすキドックス/犬のためなら、がんばれる/孤立を防ぐ予防的な取り組みを
第3章 人の生き直しを助ける
1 動物を介在した刑務所での社会貢献活動
盲導犬パピー育成プログラム/価値観の変化につながる交流/子犬を育てるということ/盲導犬ユーザーの言葉/アメリカのプリズン・ドッグ・プログラム/なぜ保護犬を救うことにこだわるのか/行き場のない猫たちを終生飼養/動物たちは心理的な安全をくれる/受刑者の力を借りて、猫の殺処分を減らす/個々の物語の力/受刑者による自然保護活動/人は自然に接すると向社会的になる/日本での新たな試み
2 少年院の動物介在活動
少年たちが保護犬を訓練するGMaCプログラム/犬の訓練で学ぶライフレッスン/少年たちの成長/地域の課題解決と3Re-Smileプロジェクト/ともに寝起きして保護犬と絆を育む/自分も誰かの役に立てる/地域社会とのかかわり
3 馬の力を借りた試み
心身に障害のある人を癒すホースセラピー/馬という動物の特性/馬を介在した心理療法/薬物依存からの回復をめざして/馬に受け入れられるということ/馬をとおして自分を知るイアガラ・モデル/島根あさひ社会復帰促進センターのホースプログラム/馬が馬らしくいることがセラピーに
第4章 人のために働いてくれる犬たち
1 障害のある人に寄り添う
盲導犬がくれる安心/スカイとなら歩ける/三頭の盲導犬と歩む人生/保護犬が聴導犬に/聞こえない人の目印にもなる聴導犬/もっと多様性のある社会を/自分で考える犬たち/介助犬とともに自立をめざす/本来の自分を取り戻す/介助犬がいれば、きっとなんとかなる
2 補助犬の可能性
もっと補助犬の受け入れが進むためには/適性に合わせてキャリアチェンジ/新たな存在を受け入れ、心の回路が開いた/家族や地域にも変化をもたらす/アメリカのサービスドッグたち
第5章 医療や福祉の場で
1 病気の子どもや大人を支える犬たち
犬が来る病院/子どもが子どもらしくいられる時間/最後まで楽しむことをあきらめない/医療チームの一員、ファシリティドッグ/不安なときこそ、アイビー/ハンドラーとの絆/勤務犬が活躍する病院も/ホスピス病棟への訪問活動
2 高齢者施設の動物たち
犬がいる特別養護老人ホーム「さくら苑」/犬と接して表情が豊かに/介護職員のメンタルヘルスにも/犬は地域との架け橋/生きがいを創り出す/施設で人も動物も幸せに暮らすために/最期まで自分のペットと暮らす願いをかなえる「さくらの里山科」/動物の存在がもたらすもの/看取り犬、文福/動物とのあたたかな日々
おわりに 私と動物
主な参考・引用文献
※本書中の写真でクレジットがないものは、著者撮影

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふう

74
動物と暮らした経験があるたいていの人は、動物に癒やされたり支えられたりすることが実感できると思います。本書では動物の力をさらに深く考察し、人と動物が心を通わせることで、人の力では難しかった問題が解決の方へと向かったり、ときには生きる希望になったりする様子が具体的な事例とともに記されています。自己表現の苦手な子が、犬に読み聞かせをすることで自信をもち始める。厚生施設にいる子が、犬の世話や訓練をすることにより、根気強さや相手をおもんばかる気持ちをもつなど、お互いにとって大切な存在であることが伝わってきました。2023/09/04

おせきはん

32
教育や看護、介護の場で人々に優しく前向きに生きる力をさりげなく与えてくれる犬や猫の力に驚きました。犬や猫と向き合い、自分の心の中にある優しさや強さに気づけるのは、すごいことだと思いました。一方で、言葉を介して本心が隠されたり、立場の違いが緊張関係を生む、人と人とのコミュニケーションの難しさも感じました。2023/06/17

joyjoy

14
これまでに大塚さんの著作などを通して知った施設やプログラムのその後や、同様の活動が各地で行われていることを知ることができて嬉しかった。コロナ禍で中断されたプログラムも多いようだが、また再開されていることを願う。そしてこの本をきっかけに動物がくれる力に関心を持つ人が増えて、さらに活動が広がっていってほしい。著者による写真が今回も素晴らしかった。2023/10/24

okk

8
盲導犬は個人的に興味があるのでとてもおもしろく読めた。なにより写真がどれもかわいくてよかった。少年院の子たちが盲導犬候補の子犬を育てる話、小説とか映画とかならないかなー2025/07/11

マユ

7
様々な福祉施設、医療施設、教育施設で癒しと安心感を与え様々な気づきを与えてくれる動物たち。(主に犬。他に馬や猫の話題も。)  介助犬について知らなかったことも多く、とても勉強になりました。 癒されていく過程を読んでいて私自身もなんだか癒されました。 是非広まってほしい活動ばかりでした。2024/09/28

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