内容説明
白いワンピースに、麦わら帽子。廃ビルに現れる都市伝説の“少女”とは?――太郎と散多は古道具店を営む兄弟。ものに触れるとそこに宿る記憶が見えるという散多は、古いタイルからこれまでにないほど強烈なイメージを受ける。そこに映し出されたのは幼い頃に亡くした両親の姿だった。タイルと両親にまつわる謎と、廃ビルで目撃された少女の都市伝説が交差するとき、時を越えた物語の扉が開く……。再開発予定の地方都市を舞台に、兄弟のひと夏の不思議な冒険を描くファンタジックミステリー長編。
目次
第一章 兄のこと、名前のこと
第二章 壁の色のこと、茶碗の帰還のこと
第三章 ジローのこと、発見のこと
第四章 チーズケーキのこと、N町のこと
第五章 落語CDのこと、トンネルのこと
第六章 銭湯のこと、胴乱のこと
第七章 坂道の先のこと、黄色いテープのこと
第八章 風景印のこと、「ゆるさ」のこと
第九章 兄が遭遇すること、その反応のこと
第十章 「ダイゴ」のこと、「ハナコ」のこと
第十一章 準備のこと、もう一匹のこと
第十二章 ドアを探すこと、消防署のこと
第十三章 ちょっとした寄り道のこと、世間での呼び名のこと
第十四章 みんなのこと、僕らのこと
文庫版あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
となりのトウシロウ
115
ナツイチ2024。古道具屋を営む兄・太郎と兄の仕事を手伝いながら古道具屋の店内でバーを開く弟・纐纈散多(こうけつさんた)。散多には特殊な能力ー古い記憶を持った物に触れると、その物に込められた思念が読み取る事ができるーがある。ある時古いタイルに触れた時に亡くなった両親に関わる幻視が現れる。兄弟の両親の隠された謎を解き明かす途中で、白い影としてよぎるスキマワラシは一体何なのか?ノスタルジックな香りのするファンタジーだが、得体の知れない存在は恐ろしさがある。謎が全て回収される訳でもなく微妙な読後感が残る。2024/07/15
ピース
79
なんかフワフワした話だった。散多には不思議な能力のようなものがあるが、それが何なのか分からない。分からないながらも醍醐覇南子との出会いによって大きく展開した。それでもスキマワラシと覇南子との関係とか分からないままのこともあった。分からないことを分からないままにしておくのはいかにも恩田陸らしい。2023/08/06
カブ
58
古道具屋店を営む兄弟太郎と散多のひと夏の不思議な冒険を描くファンタジー。よかった。両親を早くに亡くし、二人で生きてきたんだってことが、両親を渇望し見せた幻のような物語。幼い二人を残して逝った両親の想いも伝わる。2023/09/26
yamatoshiuruhashi
58
8年ぶりの恩田陸。「ドミノin上海」をポチろうと思ったら本書も出てきて題名に惹かれて同時に購入。ああ、この作家は面白い発想をする反面、時にこんなに読みにくい妙な文章を書く人だったと思い出した。カバー裏の著者の他の作品に「ねじの回転」を見出して妙に納得。設定も斬新だし、座敷童ならぬスキマワラシを描くファンタジィはそれなりに面白い。が、読みにくくノリが悪くて1週間かかってしまった。両親を早くに亡くした兄弟。異常な記憶能力を持つ兄と、特定のモノが持つらしい記憶を観る弟。で、結局何でそうだったの?と不可解なまま。2023/04/05
naoっぴ
55
物に触れるとその物の記憶がみえる不思議な能力を持つ散多は、とある古いタイルから強烈なイメージを得たことで古道具屋の兄・太郎とともにそのタイルの謎を追う。建物の解体現場に現れる白い服の女の子、亡き両親のこと、女の子が呼びかける「ハナコ」とは誰か。不思議がいっぱいの世界観がとても好み。スキマワラシの謎が知りたくて読んでいたけど、大勢のスキマワラシが扉を駆け抜けるラストのビジョンが強烈で鮮やかで、どうでもよくなった。ちょっぴりゾッとするところもあったりと、最後までわくわくできて楽しかったです。2023/05/07
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