内容説明
一九二三年、東京は関東大震災により未曾有の被害を被った。しかし元禄・安政地震の記録をひもとくと、関東大震災の被害が地震規模に対して著しく大きかったことがわかる。被害を拡大させた要因は何か。江戸という町の発展と震災後の帝都復興をたどれば、見えてくるのは都市計画の果たす役割の大きさだ。科学技術が進んだことが、新たな問題を生んではいないか。現在の東京が抱えるさまざまな問題を指摘し、都市の在り方を考える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とろりんとう
4
2023年6月、日経新聞書評本。1923年関東大震災で甚大な被害を被った。江戸時代の背景も含めた帝都復興を辿り、最後に現在の東京が抱える問題を指摘。復興は様々な人達の多様な思惑があり、予算確保も難航。渋沢栄一の「理想的な計画は立派だが、人間が住む場所にて理想のみに走るのも考えもの」がそれを表している。都内にある小学校と隣接した公園(復興小公園)、東西線の江東区内駅出口の階段、首都高速建設など経緯が良く分かる。後藤新平への否定的な意見もあるが、希望・未来を語ることの大切さと、現実生活との折り合いが難しい。2024/03/14
aochama
3
関東大震災と戦災の復興の結果、今の東京になるまでの経緯を踏まえ、現在の東京が首都直下地震に怯えなければならない理由を分析。海抜ゼロメートル地帯、郊外の木造密集地域、首都高速道路による環境破壊、超高層ビル林立、湾岸埋め立て地の大量のタワーマンションなど経済を優先した結果、人が住むには好ましくなくなってしまった現実に言及。都市計画が成功した名古屋との違いを指摘します。首都直下地震で経済を優先したツケを払うことにならなければよいのですが。2023/08/06
onepei
3
橋や道路の話までは聞いたことがったが、第4章、公園や小学校の話が興味深かった。巻末の23区自然災害慰霊碑一覧もよい。2023/06/11
takao
2
ふむ2023/06/25
Meistersinger
1
復興計画が予算面で挫折したことは知っていたが、財政事情を現実的に考えると仕方がなかった面もあると。避難を考えて公園と橋を作ったというのは面白かった。2023/07/07