ちくま文庫<br> 長くて短い一年 ──山川方夫ショートショート集成

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ちくま文庫
長くて短い一年 ──山川方夫ショートショート集成

  • ISBN:9784480438614

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内容説明

将来を嘱望されながらも34歳で亡くなった夭折の天才・山川方夫のショートショートを日下三蔵によって集成するオリジナル・コレクション第2弾。第2ショートショート集『長くて短い一年』、「EQMM」連載のエッセイをまとめた『トコという男』を完全収録。全集からも漏れていた未刊行作品2篇を加えてこの分野における成果を一望できる決定版作品集。小林信彦による「山川方夫のこと」も特別収録。

目次

【PART I】長くて短い一年/なかきよの……〈新年〉/娼婦〈一月〉/相性は─ワタクシ〈二月〉/猿〈三月〉/春の華客〈四月〉/テレビの効用〈五月〉/歪んだ窓〈六月〉/夏期講習〈七月〉/他人の夏〈八月〉/邂逅〈九月〉/月とコンパクト〈十月〉/外套の話〈十一月〉/クリスマスの贈物〈十二月〉/大人のつきあい〈歳末〉/後記(光風社版)/【PART II】頭上の海/頭上の海/十八才の女/六番目の男/【PART III】トコという男/動物の秘密/デパートにて/二人の同一人物/アルス・アマトリア/人間の条件/ヘンな日本人/ 八百の真実/〝健全な心配〟/行動の理由/〝恐怖〟のプレゼント/弱むしたち/謎/中原弓彦『虚栄の市』跋/親しい友人の「不在」 小林信彦/山川方夫のこと 小林信彦/山川方夫とショート・ショート 小林信彦/編者解説 日下三蔵

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くさてる

18
バラエティある内容で、やはり読み応えがありました。昭和という時代を感じるものもあったけれど、時代の変遷とは関係ない人間心理の綾を描いて面白い。既読だったけど「頭上の海」が圧巻でした。2023/04/23

Inzaghico

7
小林信彦の文章が掲載されているので手に取った。なかなか世に出られなかった小林信彦(中原弓彦)の『虚栄の市』を推奨したのが山川方夫だったとは知らなかった。今、古書価も高くて手に入らないんだよな、この本。山川が亡くなったときの小林の追悼文がいい。こういうふうに偲んでくれる友がいるというのは貴重だ。今の小林からはちょっと想像がつかない。にやりとさせるユーモアや、あとからじわりとくる苦さみたいなのが実にうまい。読むタイミングってあるんだな、と納得する作品ばかりだ。わたしにとっては今が山川方夫の読み時なんだろう。2023/06/10

kana0202

5
トコのシリーズがおもろかった。あとは頭上の海。多くの作品の背景に戦争があるというのも昨今の芥川賞系の心理小説とは違っておもしろいところ。2023/03/03

amanon

4
この二巻にわたるショート・ショート集、もう少しテーマ別に細かく分けてもよかったのでは?とつい思ってしまった。特に本巻は詰め込み過ぎ感が強く、通して読むのは、ちと辛い気が…とはいえ、他の人がいうように、収録された作品のレベルは高く、どれも読み応えがある。それだけでなく作風の多彩さも魅力的で、著者の早世が改めて惜しまれる。個人的には巻末近くの「トコ」連作のような軽めの作品をもっと読んでみたかったか。また、とりわけ印象深かったのは、Oヘンリーの「賢者の贈り物」を思わせる「最高のプレゼント」が何とも言えず切ない。2024/03/14

Tatsuo Ohtaka

4
表題作(14編)や「トコという男」(10編)など、独特な気分を喚起させる作品集だ。親友・小林信彦による追悼文が実に哀しい。2023/02/12

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