内容説明
将来を嘱望されながらも34歳で亡くなった夭折の天才・山川方夫のショートショートを日下三蔵によって集成するオリジナル・コレクション第2弾。第2ショートショート集『長くて短い一年』、「EQMM」連載のエッセイをまとめた『トコという男』を完全収録。全集からも漏れていた未刊行作品2篇を加えてこの分野における成果を一望できる決定版作品集。小林信彦による「山川方夫のこと」も特別収録。
目次
【PART I】長くて短い一年/なかきよの……〈新年〉/娼婦〈一月〉/相性は─ワタクシ〈二月〉/猿〈三月〉/春の華客〈四月〉/テレビの効用〈五月〉/歪んだ窓〈六月〉/夏期講習〈七月〉/他人の夏〈八月〉/邂逅〈九月〉/月とコンパクト〈十月〉/外套の話〈十一月〉/クリスマスの贈物〈十二月〉/大人のつきあい〈歳末〉/後記(光風社版)/【PART II】頭上の海/頭上の海/十八才の女/六番目の男/【PART III】トコという男/動物の秘密/デパートにて/二人の同一人物/アルス・アマトリア/人間の条件/ヘンな日本人/ 八百の真実/〝健全な心配〟/行動の理由/〝恐怖〟のプレゼント/弱むしたち/謎/中原弓彦『虚栄の市』跋/親しい友人の「不在」 小林信彦/山川方夫のこと 小林信彦/山川方夫とショート・ショート 小林信彦/編者解説 日下三蔵
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
53
ちくま文庫の山川方夫ショートショート集成は2冊に分かれていたことに気付き、続く本巻を読む。「頭上の海」や「トコという男」はこちらに収録されており、2冊セットで考えれば創元推理文庫『親しい友人たち』より充実している(解説にも創元推理文庫版の収録作は2冊にすべて収録と記載あり)。講談社文芸文庫で読み印象深かった「娼婦」も本巻に収録されており、また読めて嬉しい。内容は全然嬉しい気持ちにならない話だけど…。「頭上の海」はやっぱりとても好きだなあ。これを好きだと思うことに後ろめたさを感じるほど、真に迫るものがある。2024/06/21
阿部義彦
19
三田文学の編集長で小林信彦と同時代人で、彼の薦めでショートショートに手を染めた山川方夫のショートショート集成の後編です。今回たまたまの縁で知る事が出来て良かった作家です。元々は純文学志向で芥川賞候補に四回もなってるのですね。交通事故で34歳の生を閉じたなんて、巻末には小林信彦さんの追悼と思い出の事などが付記として収録。こちらは、ショートショートもですが、評論や掌編小説とでも言える純文学よりの物語も有り、実にバラエティー豊かです。人間心理、特に女性の機微にかなり詳しいのではないかと思いました。流石ちくま。2025/05/09
くさてる
19
バラエティある内容で、やはり読み応えがありました。昭和という時代を感じるものもあったけれど、時代の変遷とは関係ない人間心理の綾を描いて面白い。既読だったけど「頭上の海」が圧巻でした。2023/04/23
Inzaghico (Etsuko Oshita)
10
小林信彦の文章が掲載されているので手に取った。なかなか世に出られなかった小林信彦(中原弓彦)の『虚栄の市』を推奨したのが山川方夫だったとは知らなかった。今、古書価も高くて手に入らないんだよな、この本。山川が亡くなったときの小林の追悼文がいい。こういうふうに偲んでくれる友がいるというのは貴重だ。今の小林からはちょっと想像がつかない。にやりとさせるユーモアや、あとからじわりとくる苦さみたいなのが実にうまい。読むタイミングってあるんだな、と納得する作品ばかりだ。わたしにとっては今が山川方夫の読み時なんだろう。2023/06/10
kana0202
7
トコのシリーズがおもろかった。あとは頭上の海。多くの作品の背景に戦争があるというのも昨今の芥川賞系の心理小説とは違っておもしろいところ。2023/03/03
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