内容説明
わけありの夫・羽吉と離縁し、飼鳥屋を営む女主人のおけい。九官鳥・月丸との暮らしも順調なある日おけいは大火に見舞われる。何とか逃げ延びお救い小屋での生活が始まるが……。江戸に生きる人たちを鮮やかに活写し、幸せとはなにかを問う傑作長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
182
梶 よう子は、新作中心に読んでいる作家です。シリーズ2作目、飼鳥屋を営む薄幸の女主人おけいの物語、最後に幸せになりそうなエンディングで良かった。「焼け野の雉」がNeverGiveUpの意味だとは思いませんでした。最近、小鳥を飼う人が減っているのは何故でしょうか❓ https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=241942023/06/23
いつでも母さん
145
ことり屋おけいにまた会えた。火事になったり、元夫・羽吉との再会があったり、永瀬父子とのあれこれ等‥4章立で前作からこのラストまで、じっくり読んだ。生きていたら色々あるよね。女が独り生きて行くには覚悟は必要だわね。そして片意地張らずに、周りに助けてもらえる時は感謝して助けてもらう柔らかさも大事なのよ。ね、おけいさん。馬琴先生の言うように永瀬=朴念仁の感じが微笑ましい結びだった。2023/06/09
パトラッシュ
137
江戸は数年に一度は大火に見舞われたが、焼け出された民衆を描く時代物は初めて。一切を失ってお救い小屋に身を寄せた飼鳥屋おけいは、荒れた人心に囲まれて託された役人の娘結衣を守ろうと孤軍奮闘する。女を作って家を出た元夫や不仲だった旧知の女との再会で心乱されたり、結衣の母が殺された事件の解明に巻き込まれる。結衣の父との不器用な恋模様も重なり、底辺の町民が火災をくぐり抜けて逞しく生きようとする姿は、震災や津波後も明日を信じる現代人の境遇に通じる。災害に打ちのめされても必ず立ち上がる日本人を象徴する焼け跡の雉なのだ。2023/06/15
のぶ
91
本作はシリーズの二作目だったのですね。前作の「ことり屋おけい探鳥双紙」は読んでいない。主人公のおけいは一人で飼鳥屋を営む女主人。ある時大火に見舞われ、大切なものを失ったおけいの心の葛藤と生命の息吹を描いた物語でした。被災後まもなくお救い小屋が建てられ、そちらに身を寄せるようになる。そこでは立場が同じなら自分も流される可能性があると怖くもなる様なリアリティがあった。醜い諍いの他にも事件など憤るシーンが多いけれど、それ以上に心の成長が力強く描かれていて、つまづきそうな心に寄り添う温かさを感じた。2023/05/17
がらくたどん
78
9年越しの続巻。3年間も行方知れずだった夫への想いに区切りをつけ一人飼鳥屋を切り盛りする事に手ごたえを感じ始めた矢先、江戸の街を大火が襲う。紙と木の町は火の回りが早い。身一つ徒歩での避難が鉄則と飼い鳥との心中も止む無しと思い詰めるおけいだが、寝たきりの老人と幼児を乗せた大八車に鳥籠を便乗させてもらえる事に。店の鳥はなんとか寺院に頼み込み、家族と思う九官鳥の月丸と火事場に残った同心から託された娘の飼い鳥を入れた小さな籠二つを持って避難所に入った彼女を待っていたのは。災害大国日本で焼野の雉となる事の波紋を問う2023/07/03
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