内容説明
12世紀の中東。
聖者たちの伝記記録編纂を志す詩人のファリードは、伝説の聖者の教派につらなるという男を訪ねる。
男が語ったのは、アリーという若き行者の《物語》──姿を顕さぬ導師と四人の修行者だけが住まう《山》の、
閉ざされた穹盧(きゆうろ)の中で起きた連続殺人だった!
未だかつて誰も目にしたことのない鮮麗な本格世界を展開する、第17回メフィスト賞受賞作がついに文庫化。
解説:佳多山大地
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
324
もう刊行から二十三年も経っていたことにまず驚いた。当時はまだ京極夏彦以降というか、ペダントリーを肉付け以上のものとして物語に持ち込む手法がある意味トレンドともいえ、数が多かった分、成功例よりも失敗例、いや失敗というよりもそのまま突っ走って独自ジャンルとして邁進することになる作品や作家さんが多かった。とってつけたような人殺しやトリックと衒学パートの融合を見ないミステリもどきが多々あった中、大技トリックはなくとも端正に纏まった良作。話中話での幻の解釈がかなり安直なのは気になったが、あのオチならばすんなり許容。2023/05/25
yukaring
81
イスラム教の神秘的な世界観と本格ミステリが融合した今まで読んだことがないような独特な物語。そしてイスラム教に対する知識がなくてもスーっと頭に入ってくるリーダビリティの高さが素晴らしい。語られるのはイスラム神秘主義を極めようとする若き行者アリーが体験する不可解な連続殺人事件。導師と四人の修行者だけが住まう《山》で次々に修行者たちが殺されていく。閉ざされた《山》でいったい何が起こっているのか?アリーによる謎解きはロジカルで興味深いがそれもラストの驚きの解釈には蜃気楼のように揺らぐ。火蛾の例えも幻想的だった。2023/06/17
オフィーリア
65
イスラム神秘主義×ミステリが美しく融合した傑作。馴染みのないテーマながらも語り手の織り成す問答に自然と惹き込まれる。ミステリ部分も上手く馴染んでいてイスラム世界の宗教観を根幹に違和感なく成立させたのがお見事。蝋燭の明かりのみが灯るような幻想的な雰囲気も良き。2024/07/01
geshi
41
ミステリ史に留まらず日本文学史においても稀有な奇作の復活が嬉しい。イスラム神秘主義思想とミステリの掛け合わせなんて他の誰が考える?イスラムの宗派の流れや思想がイスラム文化圏から遠い日本の読者にも分かりやすく書かれていて、エンタメの間口は広い。読んでいるうちに酩酊感に囚われ、真実と思っていた者が分からなくなってしまう混迷へといざなわれる。ちゃんと伏線回収したミステリとしての謎解きの先に宗教的体験そのものを主題に持ってくるラスト。メフィスト賞の尖りを味わうには最適。2023/05/23
森オサム
37
著者初読み。第17回メフィスト賞受賞作。何が何やら最後まで良く分からず読了。きっとAudibleだったのも良く無かったとは思う。本だと漢字で書いてフリガナを打ってあるので意味はつかめるんでしょうが、朗読だとカタカナでしか分からんので理解不能でした。残念です。2026/01/29
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