内容説明
オリヴァー・サックスの後継者として注目される脳神経科医が、
世界各地で出会った奇妙な心因性疾患の背後に見たものとは――
2021年《英国王立協会科学図書賞》最終候補作
世界は一様ではなく、西洋医学は万能ではない。
何が病気で、何が正常か、誰が定義できるのか?
◎スウェーデンの難民家庭の少女たちに広まった「あきらめ症候群」(第1章、第4章)
◎ニカラグアに現存する幻視や憑依を主症状とする「グリシシクニス」(第2章)
◎カザフスタンの鉱山町で発生した「眠り病」(第3章)
◎キューバ駐在のアメリカとカナダの外交官らが罹患した「ハバナ症候群」(第5章)
◎コロンビアの女子学生たちに集団発生した「解離性発作」(第6章)
◎アメリカ北東部の地方都市ル・ロイと南米のガイアナで発生した「集団心因性疾患」(第7章)
◎ロンドンの病院で著者が担当した患者の「解離性発作」(第8章)
目次
序 謎の病
第1章 眠りつづける少女たち
あきらめ症候群/ヤズィーディー/仮病疑惑
第2章 グリシシクニス
悪魔が来りて/テキサスのミスキートたち/人類学者マッダと会う/社会による脳の発達への影響/内面から浄めていく夢のようなもの
第3章 失楽園
パーティーはまだ半ばのこと/ある医師の見解/リューボフの見た天国/脳の予測エラー/世界の終わり
第4章 身体を支配する心
モン族と死/心から身体へ、身体から心へ/感覚刺激のフィルタリング
第5章 縞馬ではなく馬だと思え
蹄の音が聞こえてきたら/イアン・ハッキングはかく語りき/キューバ危機とハバナ症候群
第6章 信用の問題
HPVワクチン/ジュリエットの場合/エル・サラドの虐殺/ヒステリーとは何か/エリカとの対話/反ワクチン派とジャーナリスト/子どもたちを救え
第7章 ル・ロイの魔女たち
エリン・ブロコビッチの介入/ガイアナの精霊グラニー/集団ヒステリーと女性蔑視/集団ヒステリーとメディア/地域の慣習と〈病気〉/魔女はいない
第8章 正常な行動
シエナの場合/疾患の診断基準/ロボトミー手術/ADHD大国アメリカ
エピローグ
感想・レビュー
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アキ
藤月はな(灯れ松明の火)
やいっち
読特
泰然