眠りつづける少女たち

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眠りつづける少女たち

  • 著者名:オサリバン,スザンヌ【著】/高橋洋【訳】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 紀伊國屋書店(2023/04発売)
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  • ISBN:9784314011976

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内容説明

オリヴァー・サックスの後継者として注目される脳神経科医が、
世界各地で出会った奇妙な心因性疾患の背後に見たものとは――
2021年《英国王立協会科学図書賞》最終候補作

世界は一様ではなく、西洋医学は万能ではない。
何が病気で、何が正常か、誰が定義できるのか?

◎スウェーデンの難民家庭の少女たちに広まった「あきらめ症候群」(第1章、第4章)
◎ニカラグアに現存する幻視や憑依を主症状とする「グリシシクニス」(第2章)
◎カザフスタンの鉱山町で発生した「眠り病」(第3章)
◎キューバ駐在のアメリカとカナダの外交官らが罹患した「ハバナ症候群」(第5章)
◎コロンビアの女子学生たちに集団発生した「解離性発作」(第6章)
◎アメリカ北東部の地方都市ル・ロイと南米のガイアナで発生した「集団心因性疾患」(第7章)
◎ロンドンの病院で著者が担当した患者の「解離性発作」(第8章)

目次

序 謎の病

第1章 眠りつづける少女たち
あきらめ症候群/ヤズィーディー/仮病疑惑

第2章 グリシシクニス
悪魔が来りて/テキサスのミスキートたち/人類学者マッダと会う/社会による脳の発達への影響/内面から浄めていく夢のようなもの

第3章 失楽園
パーティーはまだ半ばのこと/ある医師の見解/リューボフの見た天国/脳の予測エラー/世界の終わり

第4章 身体を支配する心
モン族と死/心から身体へ、身体から心へ/感覚刺激のフィルタリング

第5章 縞馬ではなく馬だと思え
蹄の音が聞こえてきたら/イアン・ハッキングはかく語りき/キューバ危機とハバナ症候群

第6章 信用の問題
HPVワクチン/ジュリエットの場合/エル・サラドの虐殺/ヒステリーとは何か/エリカとの対話/反ワクチン派とジャーナリスト/子どもたちを救え

第7章 ル・ロイの魔女たち
エリン・ブロコビッチの介入/ガイアナの精霊グラニー/集団ヒステリーと女性蔑視/集団ヒステリーとメディア/地域の慣習と〈病気〉/魔女はいない

第8章 正常な行動
シエナの場合/疾患の診断基準/ロボトミー手術/ADHD大国アメリカ

エピローグ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

133
ロンドン国立神経・脳神経外科病院に勤務する神経科医で専門は心身症。世界各地の心因性反応を現地を訪れて考察する。スウェーデンの難民の少女たちのあきらめ症候群、ニカラグアで集団発生した幻覚が主症状のグリシシクニス、カザフスタンの鉱山町での眠り病、キューバのアメリカ大使館で起きたハバナ症候群、コロンビアの女子学生の集団での解離性発作、アメリカ・ル・ロイでの集団心因性疾患、ロンドンの病院で担当した解離性発作の女学生。心身症は文化・社会的な面を含めた物語(ナラティブ)と診断が与える不安の身体化にも注意を払うべき。2023/06/12

藤月はな(灯れ松明の火)

63
社会・政治的葛藤、宗教と文化の対峙構造など、様々に絡み合った不安要素から身体に不調が起こる。それは集団化する事もあり、その理由を突き止める為に原因の究明が必要だが、人は容易に原因を求めがちだ。その結果、見世物化されたり、陰謀論としてさらに不安を煽られたり、その不安に付け込む自称・専門家が出たりもする危険性について説く。特に事前に診断が下されてしまうと症例もその診断に沿った形で出てしまうという「可能性の一つとしての原因をレッテル張りされ、転換された思考による身体への辻褄合わせ」に動揺した。2023/09/10

読特

43
「病は気から」と言われても、簡単に”気”は変えられない…スウェーデン、ニカラグア、カザフスタン、コロンビア、キューバ、米NY州のル・ロイ。集団奇病を訪ねて世界を歩く。器官の機能に問題はない。かといって演技でもない。思い込みを指摘しても治らない。心が体に及ぼす作用は、想像以上に制御が難しい。生物だけでなく心理や社会という側面でも評価し対処しなければいけない。西洋医学が世界で通じるとは限らない。”おまじない”が功を奏することもある。自身の健康管理にも、人の病に向き合う時にも、心と体の奥深さを思い知らされる。2024/01/08

泰然

43
調査紀行系の科学図書として教示に富む。脳神経科医が世界各地で奇妙な心因性疾患の「謎」に迫るなかで見た一律ではない世界の作り。本書は他者の経験や他の世界を理解するためには自分の位地を解体し、相手の場所で再構築する必要性を警鐘する。表題の北欧の難民家族の少女たちに広まった「あきらめ症候群」で食べもしない、目も開かず、ベッドで眠り続ける彼女たちの症例を起点に展開される、生物・社会・心理モデルの理論は「世界を捉え直す」。わたし達は簡単に浅はかな仮説、紋切り型の概念、習俗の軛、陰謀論に呑まれる。異常とは何なのか?2023/07/30

たまきら

40
ふんわりとした書き方なのでまるで読み物のようだ。読みやすいけれど、そのせいで余計「これだから女の感性は」みたいにとられてしまわないだろうか、と余計なことを思ってしまう。世界中の抑圧された少数民族などのさらに弱い立場であるだろう幼い少女たちに起こる、似通った症状。私個人はもっと科学的にまとめてほしい。「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」と変わらない読後感になっちゃったじゃないか。2023/12/24

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