内容説明
ルーマンの思考が切り開く
新たな社会学の地平
ニクラス・ルーマンが切り開いた社会の自己産出系論を経験的な社会科学のひとつとして位置づけ、鍛え抜かれた思考をより広い地平へ解き放つ。「社会学の溶解」が問われる現在、新たなルーマン像を「中範囲の理論」として描き出し、社会科学へ回帰させる試み。
【主要目次】
序論 経験的システム論への転回――社会学における理論の地平とマスメディア
I メディアと社会
1.サブカルチャー/社会学の非対称性と批評のゆくえ――「世界を開く魔法」社会学編
2.制度と技術と民主主義――ネット社会の政治システム
3.世論と世論調査の社会学――「前面化」と「潜在化」の現在と未来
4.現代メディアと批評する個人――ジャーナリズムのシステム論から
5.機能的に分化した社会のマスメディア――報道するシステムと知のあり方
6.「社会学の知」の位置と資産
II システムの公理系
1.自己産出系の公理論――システム論のsyntaxとsemantics
2.自己産出系のセマンティクス――あるいは沈黙論の新たな試み
3.回帰的なネットワーク――社会の自己産出系の解説1
4.「固有値」と機能的分化――社会の自己産出系の解説2
III システムとネットワーク
1.ネットワークと境界性――「第三世代」システム論からの考察
2.オートポイエティック・システム論から組織を見る――「二次の観察」としての理論の射程
終章 人と学術
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷほは
6
北田『実況中継』が等価機能主義を主題にしていたのに対し、こちらは自己産出系論を主題にマスメディアやネットワーク、組織などを扱う。Ⅰ-1の『思想地図』掲載の論文は2010年、院生時代に読んだ時は衝撃を受けた。それがもう懐かしいほどに月日が経ってしまった。その後の展開として大澤真幸『社会学史』書評や『社会科学と因果分析』その他論考を読んできた身としては繰り返しの論点も多いが、こうしてまとまって出る事で辿り直すことができた。これらの知見がメディア史研究と繋がり、キットラーと異なる分析ができていくのかもしれない。2023/03/04
shin
0
表題通り、ルーマンの経験的システム論を読み解きつつ、社会学の対象となるメディアと社会への適用をしている本。ルーマンの思想の骨組みを抽出すると、あまりに雑な読み方だが結局意味が意味を生み出すという回帰構造になっているというところか。 もう一つこの本から学べたのは、先達の導きなくして術語と自然科学を含む他分野からの概念の輸入と思想の変化の渦中が記されているルーマンの原著に当たるのは大火傷を避けられないということだ。小市民たる私は本書からエッセンスをいただければルーマンとの付き合いは十分と思った。2024/01/12
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