内容説明
「Qアノン」、新型コロナ生物兵器説、自然食、イルミナティ、そして爬虫類系宇宙人による人類の支配。政治的影響力を持つまでに至った陰謀論と、その背景にあるとされるスピリチュアルな世界観。この2つをともに論じることを可能にする注目の視座「コンスピリチュアリティ」を日本で初めて紹介した論集。気鋭のライターから西洋オカルティズム研究の大家まで、多彩な執筆陣が明らかにする陰謀論の最前線。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
16
スピリチュアルと陰謀論。隠された真実に自分(たち)だけが気づいているという優越感から生まれる快楽って凄まじいのだろうし、それを共有している両者はそりゃ融合しやすいだろう。ある種の人々がこの手のカルト染みた思考にハマってしまうのは別につい最近始まった人類の業というわけではなく、SNS等によりそれが可視化されるようになり目立つというだけの話なんだろうな。敵を見出すための攻撃的な陰謀論は誰も幸福にしないだろうけれど、個人がそうしたものとどう対峙して何ができるのか考えてもなかなか難しい。2023/08/02
うみ
13
「あなたを陰謀論者にする言葉」の著者が名を連ねていたので、迷わず読むべしとなった。文体をかたいと感じる執筆者もいて、なかなかに手強い本だったんだけど、最後に現れた対談のお1人が、「何かが空を飛んでいる」の著者で、あらま、こんなところで再会するとは! とちょっと驚いたり。まとまった時間にゆっくりじっくり読むべき本なのかもしれない。2023/04/03
garth
8
まあすごいメンツの本だが、やはり横山・栗田対談が白眉である。日本においては、やはり「参政党」というのがなかなか興味深い存在なのだと思わされる。2023/04/12
noko
4
コンスピチュアリティは2011年に提唱された概念で陰謀論とスピリチュアリティが組み合わされた信念体系と定義される。注目されたのは2021年Qアノンのアメリカ国会議事堂襲撃事件、シャーマンのジェイクアンジュリの存在。彼らの陰謀論が政治面だけでなくスピリチュアルも含んでいるから。陰謀論、スピリチュアルに惹かれる人々には共通する心理的特性がある。統合失調型パーソナリティとニューエイジ実践には有意な相関がある。陰謀論的思考と統合失調型パーソナリティとの関連を示した研究もあり、全ては関連して繋がっていると思い込む。2024/02/26
in medio tutissimus ibis.
3
スピリチュアルも陰謀論も「隠された真実」に対するカルト的信仰であるという点で理論的には親和性が高く、事実傾向的に前者が後者を信じる割合は高くあるが、しかし全く重なる集団と言う訳ではないどころか同じ興味を片方が占有してしまう場合もあり、両属するには孤独・排他性・SNS信頼などの要因が重要となるし、さらに一般的ではない真実を信じているという自覚がバランス感覚となって問題行動に繋がらないことも多いので、ヤバいのは金儲け目的或は確信犯で情報発信してるごく少数の個人あるいは集団(SNSでは分別しがたい)なのである。2023/06/01