内容説明
おれの記憶は一日しかもたない――。ある朝、小説家の岸本アキラは、自分の書いた文章から衝撃的な事実を知る。事故で前向性健忘を患ったため、昨日の出来事をすべて忘却してしまうのだ。記憶の死は、小説家の死に等しい。絶望の中、彼は一人の女性・翼(つばさ)と出会い、希望を求め、再び小説を書き始めるが……。これは、けして明日(きみ)を諦めない物語。『僕は僕の書いた小説を知らない』改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
30
ある朝、自分の書いた文章から衝撃的な事実を知る小説家の岸本アキラ。交通事故で前向性健忘を患い、一日ごとに記憶がリセットされてしまう彼が、それでも明日(きみ)を諦めない物語。毎朝自分が書いた引き継ぎを読みながら、試行錯誤して小説を書き続けるアキラと、カフェで働く翼との出会い。サッパリした彼女とのやりとりが刺激となり、書き上げてゆく小説に込められた想い。まさかの急展開にはやりきれなさも覚えましたが、それでも諦めなかったアキラの挑戦と、失われていた間の出来事が次第に明らかになってゆく結末はとても良かったですね。2023/05/29
なみ
13
主人公のアキラは、記憶が1日しか持たないという自身の病状に悩みもがきながら、くじけては何度も立ち上がり、小説家として物語を紡いでいく。 妹の日向や、親友の修、行きつけのバーの田中さん、そしてカフェの店員、翼といった、周囲の人たちの存在がとても心強かったです。 とにかく、アキラの小説に対する強い熱意が感じられましたし、それでいて物語全体が緻密に構成されていて、始まりから終わりまで、とても楽しく読むことができました。2023/10/24
NAOAMI
11
ハードボイルド小説に憧れる作家さんが記憶が1日しか持たない病気になって。そんな彼がどうやって日々を過ごし、ましてや日々少しずつ小説を書き上げるのか。そして恋愛は成就するのか。ってところが淡々と展開する。一定の熱量は感じられるが、ストーリー自体のうねりは少し平板。彼が一旦は書き上げる作中作に大どんでん返しがあったためか本編最終頁で何かが反転するん?と期待していたが、一体ぜんたい何のこっちゃと解らなくなった。何か大切なことを読み落としたのかな。どこで感動するん?と不安に。病気が治った奇跡=心への強い刺激って?2023/10/10
ツバサ
10
僕は僕の書いた小説を知らないの改題作品。初めて読んだ時もグッときましたが、今回もまた胸が熱くなります。タイトルか変わった背景は分からないが、パッケージが変わって再び発売されたのは喜ばしい限り。ブログにてhttps://wing31.hatenadiary.jp/entry/2023/06/01/2213102023/06/01
色素薄い系
3
元々の方を読んでいたけどあんまり記憶に残っていなかったのでほぼ新規の状態で読了。時々あぁこんな事あったなみたいな部分はあったけどアキラが毎日混乱するのは間違いない中でそれでも前日までの自分(達)の積み重ねを無駄にしないよう小説を書き続けていく姿は良かった。翼もそうだけど周囲の人達がアキラの事を諦めずに支えているのも素敵だと思いました。2023/06/17