内容説明
海殊の穏やかな高校生活は、同じ高校の美少女・琴葉との出会いで一変する。なんの接点もなかった琴葉が、ひょんなことから海殊の家で居候をすることに。同居生活の中で心を通わせ、次第に惹かれ合う2人だが、琴葉には「秘密」があった。ある日を境に、周りの人間から琴葉の記憶が失われ、さらに琴葉の存在そのものすら消え去っていき・・・・・・。「私のこと、もう忘れていいよ」真実を知った海殊は、それでも彼女と生きることを決意するが――。精一杯“今”を生きる2人の姿に涙する、第7回スターツ文庫大賞大賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
39
海殊の穏やかな高校生活を一変させた同じ高校の美少女・琴葉との出会い。なんの接点もなく行き場がなかった琴葉が、ひょんなことから海殊の家で居候生活を始めるひと夏の物語。同居生活の中で心を通わせ、次第に惹かれ合う2人。そして明らかになってゆく琴葉が抱えていた秘密。ある日を境に周りの人間から琴葉の記憶が失われ、さらに琴葉の存在そのものすら消え去ってゆく中、それでも必死に抗おうと二人で積み重ねてゆくかけがえのない思い出があって、ひとつのメモをきっかけに繋がってゆく想いがもたらしたその奇跡には確かな希望がありました。2023/05/17
オセロ
26
高校3年生の少年・海殊が出会ったのは記憶が曖昧な高校1年生の少女・琴葉。帰る場所がないという琴葉を匿う目的で始めた共同生活で徐々に惹かれあっていき…。 海殊と殊葉のとても微笑ましいやり取り展開から一変して琴葉の言動から感じる違和感が氷塊していくことで2人の想いが深まっていき、琴葉の身に起きた異変により海殊に生じた変化を乗り越えて想いが結ばれるラストはグッときましたね。2023/05/23
なみ
22
男子高校生の海殊と、透明になっていく琴葉の恋を描いた恋愛小説。 テンポ良く、すらすら読めましたし、存分に青春を浴びることができました。爽やか! 特にラストは感情を揺さぶられました。 切ない話でもあり、温かい話でもあるので、安心して読むことのできる1冊だと思います。2023/12/01
栗山いなり
10
男子高校生・海殊と謎の女子高生・琴葉の恋物語。ベタベタな青春恋愛+ちょっとしたSF小説だったけどなんだかんだで一気読みできた作品だった2023/05/18
rotti619
10
高校3年生の海殊が公園で出会った、財布もスマホも持っていない後輩、琴葉を保護する所から始まるボーイミーツガール物。冒頭で琴葉側の事情が明示されているので、海殊は知らないが読者は秘密を知っているという状態で物語が始まるが、肝心の部分は話が進むに連れ明らかになっていくので、その悲しい現実をいかに受け入れていくのかがカギとなっている。琴葉へ非常に思い入れが深くなるように構成されている上、今過ごしている輝かしい日々の行く末がわかるだけに、後半は感情移入せざるを得なかった。終わり方もきれいにまとまっている。2023/05/15