ちくま文庫<br> 暗闇のなかの希望 ──語られない歴史、手つかずの可能性

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ちくま文庫
暗闇のなかの希望 ──語られない歴史、手つかずの可能性

  • ISBN:9784480438270

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内容説明

2003年、イラク戦争が始まった時期に、「希望を擁護する」ために本書は書かれた。あの時代は過ぎ去ったが、あらたな戦争が生じ、破壊的な気候変動が到来している。絶望と冷笑主義が残りつづける現代に、希望をもつことはいかに可能なのか。「希望は光を浴びた舞台の真ん中ではなく、周縁の暗がりにある」(本文より)。2016年に改訂され、直接行動と思想を往還する現代の名著を文庫化。

目次

日本のみなさんへ/第三版への序文(二〇一五年) 希望が拠って立つもの/1 暗闇を覗きこむ/2 私たちが敗北したとき/3 私たちが勝ち取ったもの/4 偽りの希望と安易な絶望/5 影の歴史/6 千年紀の到来──一九八九年一一月九日/7 千年紀の到来──一九九四年一月一日/8 千年紀の到来──一九九九年一一月三〇日/9 千年紀の到来──二〇〇一年九月一一日/10 千年紀の到来──二〇〇三年二月一五日/11 変革のための想像力を変革する/12 直接行動の間接性について/13 もうひとつの歴史の天使/14 カリブーのためのバイアグラ/15 楽園からの脱出/16 大いなる分断を越えて/17 イデオロギーの後に──あるいは時間の変容/18 グローバルなローカル──あるいは場所の変容/19 テキサスの三倍大きな夢/20 疑い/21 世界の中心への旅/振り返る 平凡な人びとの非凡な偉業(二〇〇九年)/すべてがばらばらになり、すべてがまとまりつつある(二〇一四年)/あとがき 後ろ向きに、前向きに/謝辞/巻末注記/訳者あとがき 東辻賢治郎/解説 ネガティヴ・ケイパビリティのなかの希望 小川公代

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

フム

43
本書は2004年に原書が初版、2005年に邦訳された『暗闇の中の希望—非暴力から始まる新しい時代』に加筆、構成を変えて文庫化したもの。巻末に小川公代さんが解説を書いているのも良かった。911からイラク戦争へと進む、暗闇に思える状況において、絶望するのでもなく、楽観視するでもない、人々のアクティヴィズム(直接行動)の思想を説く。その行動の結果はすぐに形になるわけではない。進化のようにゆっくりとした変化が周縁から中心に進んでいき、ある日突然大きな変化を起こすこともある。彼女の言葉に勇気づけられた。2023/09/18

23
アメリカ人のアクティヴィストが綴る、まさに「暗闇のなかの希望」についての書。「希望は光を浴びた舞台の真ん中ではなく、周縁の暗がりにある」という言葉通り、暗闇のなかで、希望を持って行動を起こした人々についてが書かれている。アメリカやその周辺についての話が多いが、それはそれで勉強になった。印象に残ったのは、コロンブスのアメリカ大陸の「発見」は、先住民族たちにとっては「発見」ではなく「侵略」だという言葉だ。歴史上の一つの側面だけを見て、もう一つの側からは何も語らないということが、他にも色々あるのだろうと感じた。2023/08/21

かふ

21
リア充の草の根運動か。「アクティビティ」とはリア充のことで、「サパティスタ」運動は草の根ということなのだ。そこにメディアのニュースでは報道されない動きがあるとか。振り子運動なのだと思う。砂時計に埋もれるよりも。ベンヤミンの悲観主義とオーウェルの行動の理論。「スペイン市民戦争」でファシストと共和派が言葉でバトルする中でひとりのアナーキストがこっちの朝食にはパンにバターが付いてくるぞ!と言ったことで雰囲気が変化する。そういう喜劇性が必要だという。2024/12/07

∃.狂茶党

13
希望についての、励ましの書。 これは自己啓発本なのかもしれない。 安倍政権による腐敗、トランプ政権による破壊。 巨大なバックラッシュの流れが、メディアの共謀もあって増幅されていく。 人々は抵抗の姿勢も見せず、流れに順応しようとしているようにさえみえる。 考えること、感じ取ることのほかに、希望を見失わないことが大切だ。2025/02/12

よきし

10
このどこまでも底が抜けていくようなくそったれな時代にこそ、読み継ぎ、ここからまた考え、行動していく、そういう起点となり得る一冊。私たちは自分達の行動の成果を過小評価している。悪いことが起こっているが、阻止されたもっと悪いことはどれほどあるだろうか。透明化されたそうした行動が受け継がれていくことで、世界は少しずつ変わっていく。本当にたくさんのことを教えてくれた一冊。折に触れて読み返さなければいけない一冊。2025/06/25

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