講談社学術文庫<br> 資本主義の本質について イノベーションと余剰経済

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講談社学術文庫
資本主義の本質について イノベーションと余剰経済

  • ISBN:9784065307847

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内容説明

〔それでも、究極的に資本主義は受け入れなければならないシステムなのである。〕

冷戦下ハンガリーにあって社会主義経済の非効率性を明晰に論じ、その後は新古典派経済学に痛烈な批判のメスを入れたコルナイ・ヤーノシュが、
世界経済危機を経験した世界に向けて、満を持して問うた「システム・パラダイム」に焦点を当てる圧倒的論考!
資本主義と社会主義の境界が再び問い直される今こそ読まれるべき、「異端派」の巨峰が遺したメッセージ! 

【本書「日本語版への序文」より】
「私は資本主義を「良い社会」だとは思っていない。多くの点で「悪い」と思っているが、それはちょうどチャーチルの民主主義にかんする見方と同じである。つまり、私は資本主義を、あらゆる実現可能な選択肢のなかでもっとも悪くはないものと見なしているのだ。より重要なことに、私は資本主義を、実際に行われた唯一の選択肢である社会主義よりもずっと良いと判断している。」

【本書の内容】
 日本語版への序文
 英語版への序文
第I部 イノベーションとは何か
 第1章 はじめに
 第2章 資本主義、社会主義、技術進歩
 第3章 技術進歩の転換と加速
 第4章 人は歴史的事実をどう受けとめるか
 第5章 おわりに
第II部 不足経済と余剰経済
 第1章 はじめに
 第2章 財とサービスの市場―余剰の再生産メカニズム
 第3章 財とサービスの市場―概念装置と測定手法
 第4章 労働市場―余剰再生産のためのメカニズム
 第5章 実証的な説明と因果分析
 第6章 余剰経済の効果とその評価
 第7章 一般的図式からの応用
 第8章 おわりに
補論1 自由、平等、博愛―社会主義体制崩壊以後の変化の考察
補論2 一人の東欧知識人の目に映るマルクス
 訳者あとがき
 参考文献
 索引
 訳者略歴

*本書の原本は、2016年にNTT出版より刊行されました。文庫化にあたり訳文を改訂しました。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ex libris 毒餃子

8
読みやすかったが、理解が及んでいない感じ。システム・パラダイム理論については面白いと感じた。2023/06/27

iwtn_

5
社会主義と資本主義をそれぞれ不足経済と余剰経済を生み出すものとし、ハンガリーという社会主義から資本主義・民主主義へと変化した環境での経験に基づく論考。社会を豊かにしたイノベーションはほぼ資本主義体制の国で生まれているが、それは何故なのか。それは財の個人所有とその運用の自由さにある。また、主流経済学における均衡の概念を否定し、超過需要と超過供給は同時に存在しうるといった、とても刺激的な内容。ただ、近年の中国やロシアのように、資本制に移行しても必ずしも民主制が生まれない問題は、我々が受け継ぐ課題なんだろう。2023/05/24

chiro

2
色々と批判はあるものの結果として資本主義を否定する事はできないという主張はいろんな形で主張されているがこの著者はその本質をイノべーションと余剰経済に焦点を当てて論じている。余剰経済の余剰が何を意味するのかそれは例えばグローバルサウスの余剰労働を利してより拡大させていく方向には搾取という意味での格差問題など課題がたくさんあるもののそうした事も含めて今ある形をどう変えていく事ができるのかという視点で掘り下げており示唆に富んだ内容だと思う。2023/12/24

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