角川書店単行本<br> トゥモロー・ネヴァー・ノウズ

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角川書店単行本
トゥモロー・ネヴァー・ノウズ

  • 著者名:宮野優【著者】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • KADOKAWA(2023/04発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041136072

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内容説明

「私」は娘を凌辱して殺害した、犯人の男を許すことができなかった。少年法の庇護対象内の年齢であったために、極刑にもならず、いまものうのうと生きている……あの男。私は人生を棒に振っても良かった。娘のいない人生など耐えられない、意味がない。だから、男の部屋に包丁を持って飛び込み、めった刺しにして……。気がつくと「私」は、復讐を決意した最初の瞬間にまでループしていた。何度殺しても、何度も殺しても、「私」の時計は先へ進まない……どうして。復讐者が、高校生が、世界王者が、全人類が「今日」という一日をループする。これは、SF的な日常を送ることを宿命づけられた、私たちの未来の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

aquamarine

68
綿密な計画を立て、私は娘を殺した男の殺害を決行する。留置所で満足して眠りにつくと、目が覚めたのは決行の日の朝だった。それから繰り返される永遠なる「今日」。そのうち、感染するように周りに同じ日を繰り返す人が現れるようになる…。物語は一日を繰り返すことになった様々な人の視点で連作の形で進んでいく。繰り返す人ばかりになれば、世界は秩序などなくなり世紀末の様相だ。突然切り取られた「今日」をどう生きるか。いつか「明日」はくるのだろうか。カクヨム発の作品とのことだが、想像以上に考えさせられ、読み応えのある一冊だった。2023/06/23

よっち

35
最愛の娘を辱め殺したのに、少年法に守られのうのうと生きている男に復讐を果たした母。しかし我に返ると復讐を決意した瞬間まで引き戻されていたことに気づく連作短編集。犯人を何度殺しても殺しても終わらないループ、先に進まない時計。そのうち感染するかのようにループが広がっていって、記憶がリセットされてしまうステイヤーよりも、記憶を維持するルーパーの数が増えてゆくことで崩壊しつつある秩序。混沌とした繰り返しの日々とどう向き合うのか、それでもいつか終わるかもしれないと信じて真摯に生きる人たちがとても印象的な結末でした。2023/06/12

秋田健次郎

18
ループものというジャンルこそ有名だけど、全人類がみんなループするという設定は何気に初めてかも。1日が終わると、全てが元通りという設定は不老不死ものとも言える。ただ、不老不死ものが相対的に諸行無常を浮き出させるのに対して、本作はアンチ諸行無常という感じ。もし、自分がこの状況に置かれたらと考えると、私ならあまり絶望しない気がする。「永遠」に対する自分の向き合い方を真剣に考えることは、限られた自分の人生を、ひいては今日や明日の過ごし方を考えることに繋がるのだと思う。そんなきっかけを与えてくれる一冊でした。2025/08/20

baboocon

17
人類が同じ1日をループするようになった世界での人々を描く連作短編集。第1話の現実世界で地獄の獄吏と化す復讐者のエピソードだけでも読み応えがあるが、2話目以降、ループの記憶を維持するルーパーと記憶がリセットされてしまうステイヤーが入り混じり、無秩序状態となってしばらく経った世の中でどうあろうとするか、様々な国や立場の目線からのエピソードも面白い。重いテーマも鏤められているが、「いつかループが終わったら」とその先を見据えて繰り返しの日々を過ごす人達の真摯さに読後感は爽やかだった。2023/04/29

沙智

14
「性善説なんてあり得ない。人の尊厳を破壊しても平気な顔をしている人間が世の中には大勢いる。この世界は元来地獄のようなものである」というメッセージがひしひしと伝わってくる。しかし、そんな醜悪な人間達が蔓延る世界にも高潔な精神性を失わない人達は確かに存在する。彼らの存在は、地獄のような世界に射した一筋の光であり、明日を生きる希望となるだろう。2023/05/03

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