内容説明
1926年。36歳の新進作家アガサは、愛人ナンと再婚するという夫アーチーと大喧嘩の果てに失踪する。警察の捜索隊が組織されるが一向に行方は知れない。一方、アガサから夫を略奪したナンにはある秘密があった。11日間の失踪中、アガサとナンに何が起こったのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
31
アガサ・クリスティーが1926年の12月、失踪事件を起こしたものの、アガサ自身が失踪期間のことを一切話さなかったため、事件の真相は今も藪の中だ。その11日間の空白に、たっぷりの想像力を込めて描いたのが本作。度肝を抜かれるのが、語り手として抜擢されたのがアガサの当時の夫であったアーチーの愛人・ナンである点だ。失踪のきっかけともなったと言われる愛人の視点から物語を綴るという、なんとも大胆な設定。「わたし自身のいない場所で起きたことをわたしが語っても、それを信用してもいいものかどうか、(つづく)2023/08/17
スイ
18
わーーー良かった!! 未だに謎に包まれたアガサ・クリスティーの失踪事件を下敷きにしたフィクション。 もっとワイドショー的なものを考えていたのだけど、一人称がアガサが失踪するきっかけになる夫の愛人、というところでまず、おっ、となり、その視点が早々に一人称ではあり得なくなっていくところでまた、おっ、となる。 次第にわたしたち、の話になっていき、最高潮に達する4人のひとときがたまらなく切ない。 前半は少しまどろっこしくも感じたが、次第に目が離せなくなった。 ラストもこう来たか、と。 フィクションであることを2023/06/03
一柳すず子
6
アガサクリスティーの知名度を使ってロマンス小説書きました的な内容。実在の愛人をここまで創作していいものなのかな。未婚の母が入る修道院は過酷だけど最も残酷だったのはフィンバルの親では?2023/08/06
たつや
4
大変面白かったです。1926年に起きた11日間のクリスティーの失踪事件をミステリー仕立てに丹念な取材の上で書かれた本書は本家の作品に負けず劣らず、面白かった。クリスティーも発見時に記憶を無くしていたのも驚きだ。全ては謎のままだが、それでいいと思った。2024/06/04
おーね
4
アガサ・クリスティーが行方不明になっていた事を夫の愛人の物語と合わせて、えらく大胆につなぎ合わせたものです。なるほどこう来るかと思いました。2023/07/08