鏖戦【おうせん】/凍月【いてづき】

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鏖戦【おうせん】/凍月【いてづき】

  • ISBN:9784152102263

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内容説明

遠未来、変貌した人類が異星人と果てしのない戦いを繰り広げるさまを壮大なスケールと美しいヴィジョンで描く「鏖戦」。月コロニーでの、壮絶かつ衝撃的な実験を描いた「凍月」。2022年11月に逝去したベアを追悼する、ハードSFの代表中篇2篇を収録した一冊

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

57
「鏖戦」(原題:Hardfought)は人体と言う器を脱ぎ捨ててまで変形し、記憶を引き継ぐクローンを作ってまでも戦い続けた人類。ただ、その記憶ですらも摩耗し、混濁し、意味を変えて統合されていくからこそ、同じことを繰り返す業だ。そして彼らの情報を俯瞰するセネクシもブルーフラックスらの記憶にある感情の機微に対し、戸惑い、感化されるが・・・。結末が某トラウマ漫画みたいに静謐な哀愁が漂っている。そして酉島伝法作品のようなすぐ脳内でイメージを展開できないが惹きこまれるハードSFの先駆者はグレッグ・ベア氏だったのか!2023/08/11

ひさか

23
2023年4月早川書房刊。Hardfought(鏖戦)、Heads(凍月)の2編を収録。鏖(みなごろし)なんていう字があるなんて初めて知りました。表紙も見ていてあきない。長い戦いを描く鏖戦は観念的な描写が満載で、なかなかに難解だがハードな手応えが楽しめ、出てくる言葉が面白い。凍月は少しユーモラスな展開だが、決着を政治に持っていったのがあて外れでした。2023/07/30

宇宙猫

20
★★★ 鏖戦:難漢字を使って異質さや現代との隔たりを表現。90年の翻訳としては面白かったと思うが、新規性を感じない今となっては読み難くてマイナス。読んだはずなのに記憶がない。 凍月:分かり易いストーリーで今読んでも面白いと思うが、残念なことに結末を覚えていた。それだけ面白かったんだろうな。2023/08/24

本の蟲

15
作者代表作『ブラッド・ミュージック』は読了後、長らく積んでいたのを後悔した傑作。名SF作家による数々の賞を受賞した中編2本。『鏖戦』/超遠未来。太古から存在した異星種族と、変わり果てた人類社会による終わりなき闘争。異星種族の異質な思考。何世代にもわたる、人種戦闘員の系譜とその始まり。『凍月』/家系による結束と独立独歩を謳う未来の月社会。しかし、ある有力家系の試みた実験が地球の一勢力の干渉を招く。人が集まる限り発生する権力と責任。科学が発展しても消えない宗教とその毒。米国人の気質を皮肉った快作でかなり好き。2023/05/20

もち

14
「この秘密を胸に秘めて、わたしは戦いに臨む」◆変貌を遂げた人類は、異星人と終わりない闘争を続けていた。新兵が敵の中枢で体感したのは、人間側で活躍した古兵の記録。情と熱度を帯びた回想に浸る『彼女たち』が行き着く、驚愕の全体像――(『鏖戦』)■さすがの難解さ。説明なく尺度も価値観も異なる状況に投げ出され、密な描写と情報の奔流に曝される。「何か凄いことが起きている」のは分かるが、噛み砕くには精読・再読が必要。巨星が遺した、極限まで鍛え抜かれた中篇集。2023/05/03

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