内容説明
想像の源泉か? 歴史観の表明か?
フランス革命は「自由・平等・友愛」を標語にする共和国の出発点であり、革命をどう記述するかはフランスのナショナル・アイデンティティ構築の鍵を握る。フランスの作家たちは大革命をどのように眼差し、どう描いてきたのだろうか。本書では、18世紀から20世紀を専門とする7名の仏文学者たちが、7人の作家の作品を通し、この問いに鮮やかに答える。
取り上げるのは、革命を経験したナポレオンとほぼ同世代のスタール夫人(村田)とシャトーブリアン(小野)、「ブリュメール18日」のクーデタの直後に生まれナポレオン帝政期と復古王政期に人となったバルザック(柏木)とユゴー(西永)、そしてドレフュス事件と第一次大戦のあいだの1912年に「恐怖政治」を扱った小説を出版したアナトール・フランス(三浦)、その一回り下の世代で、ドレフュス事件から両大戦間の人民戦線期にかけて「フランス革命劇」連作8篇を書いたロマン・ロラン(アヴォカ)、最後に我々と同時代人で、マリー=アントワネットを主人公にヴェルサイユ最後の3日間を描いたシャンタル・トマ(関谷)。
約200年に渡って強烈な個性と才能が考え抜いてきた「革命像」が、いまここに広がる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
40
2021年9月に日仏会館が開催したシンポジウム「文学作品に現れたフランス革命」の内容をもとにした論集。 読みたい本が次々と現れ、フランス革命への興味がより一層かき立てられる。 フランス文学やフランスの歴史に興味がある人には、恰好の本ではないだろうか。 僕自身、このイベントに参加した後、紹介されていたアナトール・フランスの『神々は渇く』とロマン・ロランの『フランス革命劇』を読んでみたが、いずれも素晴らしくて、これからも何度も再読したくなるような作品だった。 今回書籍化されたことは嬉しいかぎりだ。/2023/02/20
H2A
13
『神々は渇く』『暗黒事件』のところだけ読むつもりで借りたところ、結局最後まで読んでしまった。シャトーブリアン『墓の彼方からの回想』はかなり有名なのに日本語ではほぼ読めない。この本を読んでもう興味津々。そしてロマン・ロランの章はちょっと晦渋な印象。まとめて読んでみるととてもおもしろい。2022/12/07
ラウリスタ~
10
フランス革命を扱った作家とその作品を、専門家たちが一つ一つ担当し、紹介していくシンポジウムの書籍化。論文集というよりも、作品紹介に力点がある。スタール夫人、シャトーブリアン『墓彼方』、バルザック『暗黒事件』、ユゴー『93年』、フランス『神渇』、ロラン、シャンタル・トマの七人。最後の一人を除けば、戦後の教養主義の時代によく読まれたが、なかなか新訳が出ないこともあり、現代の若い読者には縁の薄くなっている作品が多いか。革命の時事的記述が長大な作品だと読み解くこと自体が大変なので、本書で予習しておくとよいかも2023/03/08
Jessica
4
お気に入りは第七章。シャンタル・トマ『王妃に別れをつげて』より「マリーアントワネット像と歴史小説の魅力」 ベルばらのせいか彼女には良いイメージがあるけれども、そう好意的ではない描かれ方が多かったことも忘れてはなるまい。 全体的に新しい学びがたくさんで結構ワクワクしながら読んでしまった。出版はなんと今年の夏で、ロシアのウクライナ侵攻についても触れられているのでかなりタイムリー。2022/10/12
takao
0
ふむ2025/05/08
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