親愛なるレニー レナード・バーンスタインと戦後日本の物語

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親愛なるレニー レナード・バーンスタインと戦後日本の物語

  • ISBN:9784865592658

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内容説明

“……でもレニー、僕はあなたを愛してしまったし、
忘れることはできないのです。
あなたは僕にこう言いましたよね。
「誰かと恋に落ちたくはない、なぜならそれは、
自分の人生を変えてしまうから」”(本文より)

ワシントンの図書館で著者が出逢った数百通の手紙。
それは、世界の巨匠レナード・バーンスタインと
知られざるふたりの日本人との心の交歓の記録だった。

カズコ ──日本でおそらく最初の、そしてもっとも熱心なファン。
クニ ──バーンスタインと激しい恋に落ち、その夢の実現に尽力した人物。

マエストロとふたりの日本人とが紡いだ愛の物語を軸に、
冷戦期アメリカの文化戦略、高度成長期日本に花開く音楽文化が描かれる。
感動の音楽ノンフィクションがここに誕生!

レナード・バーンスタイン(1918-1990)は、
ニューヨーク・フィル、ウィーン・フィルなどのタクトをとった指揮者として、
《ウェスト・サイド・ストーリー》《キャンディード》など不滅の名作の数々を生みだした作曲家として、
米ソ冷戦期に反核や平和運動に精力的にとりくんだ行動する音楽家として、
20世紀を代表する芸術家の筆頭にあげられる巨匠。

スティーヴン・スピルバーグがリメイクし大ヒットした
ミュージカル映画『ウェスト・サイド・ストーリー』(2021)や
Netflixが制作し、スピルバーグ、マーティン・スコセッシらが名を連ねる
伝記映画『マエストロ』(2023年春公開予定)などで、
いまなお世界中から注目を集めている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

99
アメリカ議会図書館のバーンスタイン・コレクションで、二人の日本人からの手紙が突出して多いことに気付くことから物語は始まる。天野和子さんと橋本邦彦さん。二人の手紙を通して、バーンスタイン氏の人生の軌跡と日本との関わりを追う読み応えのあるドキュメントである。氏の性的嗜好に関わる内容も含むが、本書は、暴露本的な悪意ではなく、人間愛に溢れた氏の姿を伝えるものとして読みたい。また、戦後の音楽史の記録(「ノヴェンバー・ステップス」初演時の逸話、被爆40周年の広島平和コンサート、亡くなる直前のPMFなど)としても貴重。2023/04/04

こばまり

41
紛れもない労作で、このような熱量の高い調査が私たちを知られざる物語に誘ってくれるのだと有り難く読む一方、最終的に遺族を含む全関係者が了解されているとはいえ、存命中の方のプライバシーを一介の読者が興味本位で暴いてもよいのかと、やや居心地の悪さも。2023/10/02

のびすけ

33
巨匠バーンスタインと日本との絆がこれほど深かったことに驚いた。その橋渡しをした二人の人物にスポットをあてた本書。一人は、彼の一ファンとして熱心に応援し続け、親密な関係を築いた天野和子さん。もう一人は、彼の同性愛のパートナーであり、音楽活動を支えるスタッフとしても尽力した橋本邦彦さん。二人が綴った多くの書簡は、彼への深い愛情と思いやりに溢れている。彼が札幌で開催したPMFは、世界中の若手音楽家が集まる音楽祭として今も続いている。彼が音楽界に残した功績と、彼に深く関わった日本人を知る資料として大変貴重な作品。2023/04/16

ryohjin

19
バーンスタインと親交の深かった二人の日本人の手紙をもとに、戦後のバーンスタインと日本の関係が描かれ、著者の真摯な文章からバーンスタインの姿が鮮やかに浮かび上がってきます。ウエストサイドストーリーの映画や「ピーターと狼」のレコードの語りで親しみ始めたバーンスタインですが、広島でのコンサートやPMFで若い演奏者を指導する姿を読み、あらためて人間としての大きな魅力に心打たれました。その根元は『人を愛することと、音楽を愛すること。それは私にとって同じことなのです。』という言葉に集約されていると感じました。2023/02/25

さとちゃん

11
日本人二人がバーンスタイン氏に宛てた書簡から紡ぎ出されたドキュメンタリー。バーンスタイン氏はすでに鬼籍に入っておられるが、登場する日本人お二人はまだご存命とのこと。この書籍が世に出ることには色々と葛藤がおありだったことが想像できるが、承諾してくださり、一読者としては感謝。バーンスタイン氏が日本とこれほど深く関わっていらしたことがしれて嬉しい。読了後、氏が指揮される「大地の歌」1966年録音盤を聞き返してみて、以前と違った聞こえ方をしたことに驚きました。2023/08/30

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