筑摩選書<br> 日本政教関係史 ──宗教と政治の一五〇年

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筑摩選書
日本政教関係史 ──宗教と政治の一五〇年

  • 著者名:小川原正道【著者】
  • 価格 ¥1,705(本体¥1,550)
  • 筑摩書房(2023/04発売)
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  • ISBN:9784480017727

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内容説明

宗教と政治の関係を考えるには、近現代史を踏まえねばならない。本書は日本の宗教行政・政策史を概観し、重要なトピックその中に位置づけ分析する。明治以来、政府は宗教団体法の制定を模索し、昭和にようやく国民精神動員の名目で成立させたが戦後、占領軍が廃止を命令。1951年成立の宗教法人法が宗教団体の自由と自治を大幅に認め、政教分離を明確に定めた。キリスト教公認問題、内村鑑三不敬事件、戦争と宗教、靖国問題などトピックから政教関係の全体像を照射する。

目次

はじめに──近現代日本における政治・宗教・社会/第一章 近現代日本の宗教行政史概観 一八六八─二〇一九/1 王政復古と宗教行政の開始/王政復古と祭政一致/神仏分離と民衆教化の開始/2 民衆教化政策の展開と信教の自由・政教分離原則/教部省と大教院の設置/教化活動の停滞と混乱/島地黙雷の大教院分離運動/内務省社寺局の発足と神道の非宗教化/3 明治憲法下における神社・宗教行政の展開/地方改良運動と神社整理/神祇官復興運動/宗教団体法をめぐる模索/4 占領政策と宗教行政の転換/占領政策の開始/宗教法人法への道/5 日本国憲法下における宗教行政の展開/日本国憲法の成立/宗教法人法の運用と改正/改正宗教法人法と不活動宗教法人対策/6 戦後日本の政教分離原則と「国家と宗教」をめぐる諸問題/靖国神社における合祀/靖国法案と首相参拝問題/7 近現代宗教行政史における連続性と非連続性/連続性と非連続性/新たな政教関係に向かって/第二章 教育と宗教の衝突 一八九〇─一八九三/1 憲法制定と信教の自由・政教分離/大日本帝国憲法の制定/キリスト教をめぐる葛藤/2 教育勅語成立史/前史/地方長官会議建議/起草から発布へ/メディアの受け止め方/3 教育と宗教の衝突論争/内村鑑三不敬事件の経緯/井上哲次郎「教育と宗教の衝突」とキリスト教批判/メディアにおける論争/第三章 内地雑居とキリスト教公認問題 一八九四─一九〇三/1 条約改正交渉と内地雑居準備/日清戦争直前の条約改正/条約の実施とキリスト教の公認・警戒/条約改正交渉の展開/内地雑居準備と外国人への配慮/キリスト教の保護/2 条約実施準備作業とキリスト教対策/内務省令第四一号の発令/宗教法案の提出・否決/私立学校令・文部省訓令第一二号の発令/3 条約実施後のキリスト教対策/治安警察法の制定/衆議院議員選挙法の改正/許認可行政の厳格化とモルモン教問題/4 キリスト教対策の背景と展望/「独立」の希求と規制の強化/「臣民タルノ義務」をめぐって/第四章 公害・戦争・遊郭・社会主義との対峙 一八九〇─一九一一/1 宗教と社会問題の接点/宗教社会福祉の位置/社会主義と足尾鉱毒問題/2 足尾鉱毒事件/鉱毒事件と精神主義・新仏教運動/鉱毒事件とキリスト者/3 好戦論と非戦論/日清戦争と宗教界/日露戦争と宗教界/4 廃娼運動と女性の問題/日本基督教婦人矯風会と廃娼運動/廃娼運動と救世軍/女性論からの批判/5 宗教社会主義/キリスト教社会主義と安部磯雄/仏教社会主義の形成/6 幸徳秋水と宗教批判/『基督抹殺論』/幸徳秋水の宗教批判/第五章 飢饉と救済 一九〇五─一九〇六/1 東北大飢饉の発生/一九〇五年、東北/これまでの研究と課題/2 『中外日報』紙上の東北大飢饉と仏教──一九〇六年二月まで/仏教による救済運動の開始/広がっていく支援/被害の実態と動きの鈍い本山/3 『中外日報』紙上の東北大飢饉と仏教──一九〇六年五月まで/「頼みます頼みます」/支援への批判/4 仏教徒はなぜ立ち上がったのか/積極的だった仏教/キリスト教との対抗/第六章 宗教団体法の整備過程 一八九九─一九三九/1 政治による宗教利用/荒木貞夫文相演説/「有益」と「障害」/2 一八九九年宗教法案/条約改正と内地雑居/内務省令第四一号と宗教法案/治安警察法の運用/3 一九二七年宗教法案/宗教団体の法人化/大本教事件の衝撃/宗教法案の挫折/宗教界の反対/4 一九二九年第一次宗教団体法案/宗教団体法の提出と背景/美濃部達吉の批判と廃案/5 一九三九年宗教団体法/松田源治文相による立法化の模索/宗教団体法の提出と成立/宗教団体法の賛否/時勢の変化/6 「政治」による「宗教」利用・排除の実態/利用と排除の論理/宗教団体法の運用/第七章 「大東亜共栄圏」と仏教哲学者 一九一六─一九四五/1 高楠順次郎とタゴール/二人の出会い/高楠のインド観/2 面会前のタゴール観/「東洋の大詩聖」/「物質的文明」と「精神的文明」/3 面会後のタゴール観/「忘れ難い福音」/タゴールの日本観/4 ガンジーとタゴール/「無障害主義」/ガンジーの非暴力抗議活動/5 「大東亜共栄圏」への道/両刀を携えた国/大東亜共栄圏の唱道/第八章 満洲国の「靖国」 一九三五─一九四五/1 建国忠霊廟の創建/「日満一体」から「大東亜共栄圏」へ/建国忠霊廟とは何か/2 建国忠霊廟の建設過程/建国忠霊廟の構想/誰を祀るのか/3 神域整備/建築の過程/神域の整備/4 祭神論争/祭神をめぐって/建国神廟の創建/5 対外宣伝/建国忠霊廟のプロパガンダ/鎮座祭の模様/6 「英霊奉祀」の意義/陸軍の思惑/現在の跡地/第九章 靖国神社の近現代史 一八六九─二〇一九/1 靖国神社をめぐる論点/問われ続ける靖国問題/「戦前」と「戦後」の狭間で/2 靖国神社の創立/幕末政局と招魂祭/東京招魂社から靖国神社へ/3 戦前の靖国神社/日清・日露戦没者の合祀と戦勝祝祭/大正から昭和へ──激動の中の靖国/4 戦後の靖国神社問題/占領下の靖国神社──危機と「非軍国主義化」/首相の参拝再開とA級戦犯合祀/政教問題の発生と靖国神社国家護持法案/首相参拝問題の発生/政教分離裁判/5 現在の靖国問題/小泉首相と靖国問題/国立追悼施設とA級戦犯分祀問題/6 靖国問題の本質とは/「慰霊」と「顕彰」/描けなかった自画像/あとがき/人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ゲオルギオ・ハーン

27
主に戦前・戦中の宗教政策を解説して、近代日本の政治と宗教の関係、政治が宗教団体をどのような考えのもとに管理してきたのかを考察している。明治時代の頃のポイントはキリスト教関連。公認されると仏教側も活動で対抗していくため活性化していくのは興味深かった。また、公認するのは政治であるため力関係では政治に力があり、宗教は政治に対して従順であるというのは鋭い指摘だと感じた。靖国神社問題にも触れており、未だに決着が見えていないのは戦争に対する結論を未だに出せていないことが原因だという指摘も鋭いものだと感じた。2023/12/24

てつ

21
統一教会問題を念頭に書かれたと言うが、この本から何らかの答えを見いだすことは困難かもしれない。明治以降の正統的な政教関係の論説であり、現代への言及が薄いのがちょっと残念ではあるが、良書です。2023/07/16

Ohe Hiroyuki

2
政教関係について著者が記した論稿をオムニバスに集めた本である。▼宗教法案をめぐる明治から昭和の流れがまとまっている部分は大変参考になった。今でこそ宗教法人は法人格があって当たり前であるが、かつては宗教法人なるものがなかったのである。法律家としては、誰のものだったのか等と考えてしまうところである。▼本書は全体的にはリベラルなトーンで書かれているが、ここに書かれている情報は、我々が今後政治と宗教の関係を考えるうえで重要なことである(著者がこの本をまとめた動機はまさしくこの点にある。あとがきを参照されたい)2023/08/02

にわ

0
宗教と政治の関係。近現代の歴史を史実を基に記載されているのだが、俯瞰的すぎというか、どの部分にピントが合った著書なのかが最後まで腑に落ちず、なんだかなぁという感じだった。2023/12/03

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