ルールの科学 - 方法を評価するための社会学

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ルールの科学 - 方法を評価するための社会学

  • 著者名:佐藤裕
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  • 青弓社(2023/04発売)
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  • ISBN:9784787235183

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内容説明

ルールを作る、ルールを守る、ルールを破る、ルールに違反する――。行動の不確実性を少なくして、社会を秩序立てるために、私たちの社会にはルールがある。人々にとってルールは「常識」とも言えるかもしれないが、ルールを言語化・可視化して体系的に整備して知識として蓄積することはいかに可能なのか。

自然法則を対象とする自然科学に対して、社会学は規則=ルールを対象にする学問であると位置づけ、私たちの日常生活や所属する組織にある細かな規則から社会全体のルールまでを評価する視点やその意義を描き出す。

本書はルールとゲームの関係性など、基本的な視点を身近な事例から確認したうえで、規範理論や機能主義、構築主義、エスノメソドロジーなどの社会学の理論と本書の「ルールの科学」を突き合わせて丁寧に検証する。さらに、差別論や社会学それ自体にこれまでの議論を応用して、ルールの科学の射程を明らかにする。

目次

はじめに

第1部 ルールの科学の概要

第1章 自然科学と社会科学
 1 法則と規則
 2 外からの研究と内からの研究

第2章 ルールの科学の社会イメージ――ゲームとルール
 1 ゲームの一部としてのルール
 2 ゲームとは何か
 3 ルールとは何か
 4 ルールの分類
 コラム1 協調のゲームと対立のゲーム

第3章 ルールの理論――共有の方法としてのルール
 1 行為規範としてのルールの理論
 2 ルールの理論の拡張

第4章 ルールの科学の方法論と社会的意義
 1 ルールの記述
 2 社会の記述
 3 ルールの評価
 4 ルールの科学の専門家の役割

第2部 社会学とルールの科学

第5章 規範理論とルールの科学――盛山和夫『社会学とは何か』
 1 秩序構想の学としての社会学
 2 意味世界の探究であることの三つの帰結
 3 共同性への探究
 4 『社会学とは何か』の意義
 コラム2 吉田民人の「プログラム科学」について

第6章 機能主義とルールの科学
 1 機能主義の「復権」?
 2 評価の枠組みとしての「機能主義」
 3 機能と方法
 4 関連づけの理論としての機能主義
 コラム3 潜在的機能について

第7章 構築主義とルールの科学――質問・応答のゲームの探究としての構築主義
 1 構築主義とは何か
 2 whatからhowへ
 3 構築主義と質問・応答のゲーム
 4 構築主義のゴール

第8章 エスノメソドロジーとルールの科学――方法の探究としてのエスノメソドロジー 
 1 エスノメソドロジーとは何か
 2 「記述」の方法への特化
 3 暗黙の肯定的評価
 コラム4 第8章の事例を評価してみる
 コラム5 「概念」と「ルール」

第9章 ルールの科学の研究方法――社会調査の再整理
 1 ルール/ゲームの調査
 2 観察と質問
 3 統計的推論と合理性の理解

第3部 ルールの科学の応用

第10章 応用研究としての『差別論』
 1 『差別論』の特殊性
 2 入り口としての三者関係モデル
 3 ルールの評価としての差別論
 4 『差別論』の限界

最終章 ゲームとしての社会学――試論
 1 社会学というゲームのルール
 2 社会学というゲームの志向性
 3 社会学というゲームの発展のために
 練習問題――「行列」について考えてみる

参考文献

おわりに

索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぷほは

4
筒井『社会学』や北田『実況中継』と似た問題関心で書かれながら、より独特な順序で思考されており、にもかかわらず従来培われてきた議論を広く深くカバーしており、粘り強い思索の継続に脱帽させられる。心的相互作用論や現象学的社会学、言語ゲーム論などの発想が随所に見られつつ、規範理論や機能主義や構築主義、エスノメソドロジーといった諸派が統合的にまとめられていく。東『訂正する力』は訂正の可能性に重きが置かれていたが、本書は訂正過程の方法の多様性と、その事後的な評価基準をどのように設定するかが重視されているとも読める。2024/02/12

鴨長石

4
社会学という学問は、研究対象に研究主体が含まれるという点で自然科学と決定的に異なる。よって決して自然科学と同様の方法論をとるべきではない、というのが出発点である。自然科学では「法則」を「発見」するのに対して社会学は「ルール」を「評価」する学問であるとする。ここでのルールとは、人々の言動を(言語)ゲームとみなしたとき、その志向性を達成するための方法の共有であり、また共有のための方法でもある。初めて接する考え方で、業界的にも斬新のようだが、かなり明快で相当な可能性を感じる。この理論が成熟していくのを期待する。2023/05/26

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