四書

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四書

  • 著者名:閻連科/桑島道夫
  • 価格 ¥3,630(本体¥3,300)
  • 岩波書店(2023/04発売)
  • ポイント 33pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000615747

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内容説明

黄河のほとり,第九十九更生区.知識人たちはここで「こども」に監督され,再教育を受ける.解放を夢みて狂騒的な鉄鋼農業生産に突き進む彼らを,やがて無謀な政策の果ての大飢饉が襲い…….不条理な政治に翻弄される人間の痛ましくも聖なる苦闘を,「四つの書」の形式で語る.大躍進時代を彷彿とする歴史の暗部に挑んだ意欲作.

目次

第一章 天の子
第二章 更生区
第三章 紅の花舞う
第四章 見え隠れ
第五章 自由への道
第六章 両面
第七章 出発
第八章 天地にとどろかす
第九章 不思議な坂
第十章 省政府
第十一章 火
第十二章 作付け
第十三章 大飢饉(一)
第十四章 大飢饉(二)
第十五章 光
第十六章 原稿
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

66
中国の暗黒史を戯画化し、聖書や神話を用いた離れ業で壮絶なディストピア世界を描き上げた傑作。これまでに邦訳された閻連科作品の中でも一二を争う衝撃作である。『炸裂志』『心経』が書かれる前の作品ではあるが、この段階での閻連科の集大成と言っても過言にはならないだろう。そこまで大部の作品ではないのに、聖書のメタファーと中国史のカリカチュアがたんまりと散りばめられているので濃密濃厚だった。中盤からの地獄絵図は圧巻だ。こちらを先に読んでいたら『太陽が死んだ日』のインパクトは弱まったかもしれない。2023/01/30

路地

52
四つの書(ほぼ三つ)が入れ替わる物語に初めはとっつきにくかったが、読み進めて作中人物の意識を詳らかにするためのユニークな仕掛けと理解する。大躍進政策と文化大革命を思わせる思想改造のための収容所で知識人が洗脳される様子、疑心暗鬼で出る杭を打つ人間関係、大飢饉で人肉食にまで至る悲惨な実態と、それに適応してしまう人間の狂気が熱量を持って描かれる。作中作者の異なる第四の書と、訳者による後書きまで読んで、神話が下敷きになっていること、「こども」は近衛兵を指していることがわかった。やはり中国文学は政治と切り離せない。2023/04/05

まこみや

46
全く途方もない物語だ。読み進むにつれて悪夢の底が抜けたような連鎖に胸苦しさを覚える。しかしこれは完全なフィクションではなく、かの数千万の死亡者を出した「大躍進政策」から「文化大革命」に至る史実と体験を踏まえている。カリスマ的指導者が自らの権力の集中と独占のために執る政治という暴力は想像を絶する苦痛と死を人民にもたらす。自身=国家と化した独裁者は「シーシュポスの神話」の如く同様な過ちを繰り返す。彼らに共通するのは嘘と大言壮語によるメディア操作である。対岸の火事ではなく、いつでも此岸で起こりうることなのだ。2025/02/09

鷺@みんさー

30
お上は知識人達を黄河の周辺の更生区へ収監し、その指導を「こども」に任せた。読む前のイメージはもっとエンタメテイストなディストピアSFだったが、神話調の創世記に始まり、人々の陰惨極まる事態へと突き進んでゆく。恐ろしいのはこれがほぼ史実に基づいているという事実だが、物語は功を逸る競争の激化から、自らの血で麦を育てるグロテスクなシーン、そして政府の無策と無謀によりもたらされた大飢饉と、夥しい死にカニバリズムが挿入される。それでも「こども」の存在により物語は一定の秩序を取り戻し、救いさえ生み出していく。2026/05/06

ROOM 237

17
中国の大躍進政策〜飢饉の失策を血肉で描いた閻さんの真っ赤な世界は、毛沢東思想が嫌う方向にある宗教的哲学をベースに筆の力で訴えた大傑作。終わりなき集団奴隷生活への適応は時として調和をもたらすが、思考停止と全体主義が行きつく先は?と閻さんは警鐘を鳴らす。他人の精神的苦痛のエンタメ化、お上の無茶な目標設定に自己犠牲を強いられ麻痺し暴走する様子が延々と続き、彼らが出口や光を探す希望と体力を待ち望むように読んだ。紅衛兵を思わせるこどもが指揮を執る思想改造、中国で美徳とされる行いは理解し難いが益々興味が湧く国である。2023/07/21

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