岩波新書<br> 川端康成 孤独を駆ける

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岩波新書
川端康成 孤独を駆ける

  • 著者名:十重田裕一
  • 価格 ¥1,166(本体¥1,060)
  • 岩波書店(2023/04発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004319689

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内容説明

二〇世紀文学に大きな足跡を残した川端康成は,その孤独の精神を源泉に,他者とのつながりをもたらすメディアへの関心を生涯にわたって持ち続けた.マス・メディアの成立,活字から音声・映像への展開など,メディアの状況が激的に変化していく時代のなかを,旺盛な創作活動のもとに駆け抜けていった作家の軌跡を描きだす.

目次

はじめに
第一章 原体験としての喪失――出生から上京まで
1 天涯孤独の感覚と他者とのつながり
2 川端康成の日本語観
3 文学者を志して上京する
《コラム》
1 臨時国語調査会と川端康成
2 はじまりとしての「招魂祭一景」
第二章 モダン都市とメディアを舞台に――「伊豆の踊子」と「浅草紅団」
4 新感覚派の旗手として
5 一九二六年,映画との遭遇
6 「名作」はつくられる
7 帝都復興を映し出す「浅草紅団」
《コラム》
3 『文藝時代』同人たちの去就
4 共同製作に携わった歓び
5 学生時代の恋愛と別れ
6 復興する東京のパノラマ
第三章 戦中・戦後の陰翳――書き続けられる「雪国」
8 文芸復興期前後の活躍
9 言論統制と「雪国」
10 新人発見と育成の名人
11 女性作家支援と女性雑誌での活動
《コラム》
7 競い合う創作
8 創作と後進支援の舞台裏
第四章 占領と戦後のメディアの中で
12 知友たちの死と鎌倉文庫
13 GHQ/SCAP検閲下における創作と出版
14 占領終了前後に紡がれる物語
15 高度経済成長期のノスタルジー
《コラム》
9 美術品の収集と死者との対話
10 敗戦後の文学全集と文庫本
11 教室の中のベストセラー
12 「伊豆の踊子」とツーリズム
第五章 世界のカワバタ――「古都」から「美しい日本の私」へ
16 文学振興への献身
17 翻訳と「日本」の発信
18 ノーベル文学賞への軌跡
《コラム》
13 川端康成と松本清張
14 「弓浦市」と『富士の初雪』
おわりに
主要参考文献
あとがき
図版出典一覧
川端康成原作映画一覧
川端康成著作目録
川端康成関連年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

118
川端文学では孤独や別離が繰り返し描かれるが、当人は逆にメディアを通じ世間との接触を積極的に求めた。草創期の映画と関わり、作品が相次ぎ映画やドラマ化され、ペンクラブ会長として文壇のスポークスマンとなるなど名声を求めた姿は「孤高の作家」とのイメージからは遠い。従来の伝記では言及されなかった矛盾点を列挙していくと、威厳を保ちつつ世の注目を浴びようとする処世術の巧みさが見えてくる。幼くして孤児となり世の不条理や痛みを知る川端は、誰も無視できない存在になりたかった。その頂点たるノーベル賞を求めたのは当然だったのだ。2023/05/13

佐島楓

73
川端康成とメディアとのかかわりを書いた評伝。映画やさまざまな紙媒体など、いわばメディアミックスの先駆けを自分の作品で行ってきた作家だったことを再認識する。副題の「孤独」に関しては突っ込み切れていない気もしたが、いずれにせよゆっくり再読をしていきたい。2023/04/06

ころこ

47
川端の権威的で美意識が強いパブリック・イメージは読む前から既に定まったものであり、真に読むということから遠ざけられた作家だ。本書は川端をメディア論として論じることで、そのイメージがどの様につくられたのかを問う。前半では前衛的な、読者を裏切る新しい川端像を描く。無声映画を共同製作して新しいメディアに関心を抱いていたことを、声に着目していたことを、北条民雄との交流でマイノリティを、女性作家の支援でジェンダー観をバランスよく論じている。『浅草紅団』は新聞連載と同時に実際の三面記事を作品に登場させ、挿絵と共に読者2023/06/15

yuki

10
高校で「伊豆の踊子」を読んで夏休みにお友達と修善寺に出かけたことがありました。わかりやすい文章だったからなのですがなるほど「耳で聞いただけでは意味がわからない言葉を多く使った文章、眼で文字を見ないとわからない熟語を多く用いた文章には反対である」という作家の考えがわかりました。川端康成は読んだことがないので少しづつ読んでみたいとおもいました。2023/08/31

amanon

7
川端康成とメディア…一見して、奇異な印象を与えるが、読み進めるうちに、なるほどと思わせる。また、今日名作と謳われる『伊豆の踊り子』がそれ程高い評価を受けていなかったという事実に驚き。ただ、ある程度川端の生涯に沿った記述がなされていながら、川端の死について触れていないこと。それに、反目の関係にあったと思われがちな、太宰を高く評価していたことに言及していながら、太宰の死にどう反応していたかが述べられていないなど、一抹の食い足りなさを覚えるのも事実。それと、川端の人となりについての言及が乏しいのもちと不満。2023/06/29

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