岩波新書<br> アリストテレスの哲学

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岩波新書
アリストテレスの哲学

  • 著者名:中畑正志
  • 価格 ¥1,166(本体¥1,060)
  • 岩波書店(2023/04発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004319665

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内容説明

思想界では近年一段と脚光を浴びる一方で,一般には時代遅れのイメージが付きまとうアリストテレス.本書はこの懸隔に架橋すべく,彼が創出した&lt;探究と知の方法&gt;を示したうえで,人間,社会,自然を貫く議論の全体像と核心を明らかにする.現代人の疑問や違和感に向き合いながら,「いまを生きる哲学者」としての姿を描き出す入門書.

目次

はじめに
I アリストテレスはほんとうに重要なのか──知的探究の行程=方法
1 現代に生きるアリストテレス
2 「万学の祖」を可能としたもの
3 知の多元性と自律性
II なぜ倫理学は月並みなのか──幸福・徳・共同体
1 「倫理学」という知
2 徳の倫理とそれを超えるもの
3 政治学としての倫理学
III 現代自然科学で十分ではないのか──自然を理解するための知
1 変化する世界を語る言葉
2 自然とその原因
3 なぜイセエビから宇宙までを観察するのか
IV なぜ「心」ではなく「魂」なのか──生きることを基本に考える
1 生きることの原理としての魂
2 魂の放棄と心の概念の成立
3 外的世界・知覚・夢
V なぜ形而上学という知が必要なのか──「ある」ことの探究
1 形而上学と『形而上学』
2 「ある」の探究としての形而上学
3 ウーシアーの探究
4 デュナミス(力能)とエネルゲイア(活動実現状態)
5 アリストテレスの神
VI 継承・否定・回帰──その後のアリストテレス
1 アリストテレスへの脚註としての哲学史
2 「著作集」の編集と初期の註解
3 新プラトン主義者たち
4 諸言語への翻訳
5 ルネサンス期のアリストテレス
6 論敵としてのアリストテレス
7 現代のアリストテレス
あとがき
アリストテレス略年譜
アリストテレスの著作として伝わるもの

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buuupuuu

24
前世紀の後半から特に分析的形而上学や倫理学などの領域でアリストテレスが見直されている。本書はそういった動向を踏まえつつ、それらを超えるようなアリストテレス自身の考えを紹介しようとする。万学の祖と呼ばれるくらいだから彼は様々なことを論じているのだが、本書はそれらを方法論という観点から一貫させて説明しようとしている。我々が既に馴染んでいる事柄を批判しつつ明確化するというのがアリストテレスのやり方だと言えるだろうか。形相という概念はパルメニデスに対抗して変化を説明するために導入されたというのが面白かった。2023/04/17

しゅー

8
★★新年一冊目として読むにはカタかったか。あまり頭が回っていないので目が紙面を上滑りしてしまう。選書の参考にしている新書書評サイトで高評価だった本。アリストテレスの哲学は健全な常識的感覚とも相性が良いように感じている。しばらくしてから再読しよう。2024/01/01

Hiroshi

6
アリストテレスの哲学の中で理解が難しい箇所も含めて優しく説いた入門書。アリストテレスに由来する概念は、個別・普遍、可能・現実、理論・実践、実体・属性…と数多くある。その内容は彼が言い出したとは限らないが、表現を固定し概念を定着させたのは彼だ。但し、現在も当時と同じ意で使われているとは限らない。万学の祖といわれるように多くの学問分野の開拓者だった。それは彼自身の考え抜いた知の理論と探求の方法による。それにより様々な学問的知にとって知として成立する為の基礎的条件を備えた。探求を通じて世界を知的に理解するのだ。2023/10/10

れどれ

5
アリストテレスといえば功績の偉大さも実績の壮大さも度が過ぎて、まとめあげる方の苦労も察せられるが、硬軟おりまぜた文章でうまく整理されていた。「なるほどね、よくわかった」ではなく「なるほどね、もっとわかるようになってみたい」と思わせてくれる構成。2023/05/27

みのくま

4
アリストテレスの著作はいわゆる講義メモの形でしか残っておらず、プラトンのような文学性を感じる事ができない。また恐らく随時加筆されており時系列で著作を追う事もできない為、時代背景やアリストテレスのパーソナリティを一先ず棚上げし、書かれた内容を吟味する事が主眼に置かれて研究されがちだ。本書も基本的にそのスタンスで書かれており、簡単に要約すれば「現在では普通な事をアリストテレスは先駆けて行ったからスゴイ」という事になる。だがやはり物足りない。もっとアリストテレスのパーソナリティに限りなく迫った研究を読みたいのだ2024/02/13

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