内容説明
企業・政府・市民。かつてその均衡は保たれていたが、近年、企業は株価を上げることに苦心し、損失を税金による救済で賄うようになった。なぜこのような資本主義の負の側面が露呈したのか。そして新たな経済を構想することは可能か。理想的な社会契約論を描く
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とりもり
2
ミルトン・フリードマンの利益至上(株主資本)主義が他のステークホルダーをないがしろにした結果、巨大になったグローバル企業は自らの利益のために労働者(時には自ら)の保護を国家に求めつつ、行き過ぎた租税回避行動で国家財政を逼迫させる。財政難となった国家は社会保障を切り詰め、それに不満を持つ国民がポピュリズムや権威主義を支持する結果に。処方箋は、株主資本主義をやめ、タックスヘイブンをなくし、増えた税収で北欧型の高福祉国家に転換すること。趣旨には賛同するが、理想論に過ぎる。実現の方策の提示もなく残念。★★☆☆☆2023/08/22