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内容説明
「あの海軍甲事件で山本五十六長官が撃墜された時、私は1番機、2番に続く『3番機』の搭乗員として、長官と同じ空を飛んでいたんです」1943年4月18日。日本海軍の山本五十六大将が搭乗していた機体をアメリカ軍の戦闘機に撃墜され戦死した「海軍甲事件」。通説では、この事件で登場する機体は「2機」である。この話は本当なのか。すると、先の言葉の主である99歳の青木藏男さんは、一冊の航空日誌を取り出した……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
71
山本五十六の最期の訪問予定地に慰労物資を運んだ輸送機搭乗員からの聞き書きと、様々な史料から構成されたラバウルでの山本や軍の動きを、それこそドラマ仕立てに構成した書。著者はまだ25歳と若いが、祖父以上に年の離れた搭乗員への取材から、この物語を構成した手腕は今後が期待できる。山本の動き自体は他書で知っていることが多かったが、豚狩りとかは記憶になかった。しかし視察内容を暗号とは言え詳細に電報しており、参謀の中には解読の懸念を示すものがあったようだが、そのまま実施してしまう愚。危機管理の甘さには愕然とする。2023/05/13
金吾
30
山本元帥が最前線のラバウルにいきたがらなかったという話は私の思っている元帥のイメージに合致しており印象的でした。またショートランド視察の理由を考察されてましたが、これまた元帥のイメージに合うものでした。2025/05/30
kawa
30
山本五十六大将の墜死事情を、ラバウルでの直前15日の滞在の様子を通して分析。3番機と言っていいのかの疑問を含めて突っ込みどころありで、学問的には?との思いなのだが、ドラマ風に読みやすく仕立て上げた作者に歴史ファンとしては好感、拍手。事件後の動向に、もうちょっと触れていただけるとさらに良かったかな。2024/08/20
筑紫の國造
13
タイトルからして、なんとも惹かれるものがある。本書は、山本五十六と同じ空を飛んだ3番機、青木藏男氏のインタビューをまじえながら、連合艦隊司令長官山本五十六の最後の日々を活写する。特徴として、まず非常に読みやすい。青木氏は山本と直接関係があったわけではないが、若い飛行隊員の人生を追体験するような形で当時の状況が描かれている。著者はまだ大変若く、これからの活躍も期待される。もはや戦争経験者が非常に少なくなった現在、新たな時代の歴史ノンフィクションの担い手の一人として、しっかりとした意識を持っている。2023/05/13
oooともろー
8
2023年新書読み納め。山本五十六謎の撃墜事件の詳細。これまであまり知られていなかった3番機。生死は本当に紙一重。ただ、あとがきで五十六の死と安倍晋三の死を並べて論じていたのだけが残念。若い著者が間違った方向へ進まないことを切に願う。2023/12/29