アイリス

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アイリス

  • 著者名:雛倉さりえ【著】
  • 価格 ¥1,699(本体¥1,545)
  • 東京創元社(2023/05発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 450pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488028930

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内容説明

映画『アイリス』に子役として出演し、脚光を浴びた瞳介は、その後俳優として成功できずに高校卒業前に芸能界をやめた。だが、映画で妹役を演じ、現在も俳優として人気を集めている浮遊子との関係は断てずにいる。『アイリス』の栄光が、彼を過去へと縛りつけていた。そしてそれは、監督の漆谷も同じだった。二十八歳で撮った『アイリス』は数々の賞を受賞したが、彼自身はそれ以降どれだけ評価を得ても、この作品を超えられないという葛藤を抱えていた。ひとつの映画が変えた俳優と監督の未来。人生の絶頂の、そのむこうの物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

コンチャン

15
子役時代に出演した映画「アイリス」の評価を超えられず、芸能界を引退した青年と、同じ理由で苦悩する監督の二人の目線で語られる物語です。どちらにもそこで開花し女優となった女性をめぐるいびつな関係も描かれており、静かな文章で濃密な世界を味わえました。2023/06/27

たつたあお

14
漆谷監督が撮った映画『アイリス』。完璧な世界を構築した美しいこの映画は、主人公兄妹を演じた瞳介と浮遊子、漆谷を縛る鎖になる。どんなにもがいても『アイリス』を越えられない苦しみや呪縛。著者自身が、鮮烈なデビュー作で注目され、その後書けない時間に苦しんだ―というエッセイを読んだことがあるが、その経験が生かされているのだろうか(という下世話な推測は、この作品にそぐわないのだが)。 他人を見下しながら妬み憧れる瞳介が青臭く、個人的に好きになれない人物ではあるが、この年頃の若者の傲慢さを活写していてすごいと思う2023/06/30

練りようかん

12
異例のヒットを記録した映画の子役と監督の二部構成。あれを超えることがない続人生を描いていて、特に引き込まれたのは第一部。芸能界で活躍するもう一人の子役もまた、過去の呪いとたたかっていて主人公のことを役の間柄で呼ぶのだが、呪いが解けたら関係を切りそうでずっとヒヤヒヤしていた。立ち止まってるのは誰だ、誰が先に進めるかをじっとうかがうのが楽しかった。ロケ地の湿原、浴室の湯、公園の小川など水の描写がとても素敵。ミステリアスで色気があって人物の深層心理を照らしてるようにも読める。最後も良かった、面白かった。2024/09/28

てつろう

6
映画アイリスの監督の漆谷と子役の瞳介と浮遊子の現実から離れて映画の虚栄の世界から抜けきれず歪んだ愛情で苦しむ。子役て成功してもその後で苦しむのは辛いなぁ~。一部は瞳介目線、二部は漆谷目線。2023/08/03

だいご

5
『アイリス』という傑作を生み出したあとその呪縛から逃れられない瞳介、浮遊子、漆谷の3人。戌井がそうでもないことを思うと、この3人は現実世界で死んでしまい、虚構の世界でしか生きられないのかもしれない。瞳介がしようとしたことは、浮遊子を虚構の世界から引っ張り出して現実に繋ぎ止めることだったのかな。ただ浮遊子は虚構の世界でしか生きられなかったし、浮遊子を現実世界に繋ぎ止められなかった以上、瞳介に現実世界においての救いはないのかもしれない。だとすればあまりに残酷な話。2023/07/16

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