ちくまプリマー新書<br> 増えるものたちの進化生物学

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ちくまプリマー新書
増えるものたちの進化生物学

  • 著者名:市橋伯一【著者】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2023/04発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480684462

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内容説明

生命と非生命をわけるもの、それは「増える」ことである。増えて遺伝する能力は生物を進化させ、繁栄をもたらし、やがて私たち人間に自由と生きる喜びを与えるとともに尽きることのない不安や迷いを植え付けることとなった。生の悩みから生命の起源と未来を見つめる知的問答の書。

目次

はじめに/第1章 なぜ生きているのか/私たちは何のために生きているのか/祖先へさかのぼる「望み」の連鎖/そもそもの始まり──増えて進化するものの出現/進化の原理/増えるものと増えないものの違い/生命誕生に至る進化/自己複製ロボットの進化/地球の歴史上で一度しか起きていない現象/増える性質のおかげで惑星や宇宙が滅びても生命は存在し続ける/第1章のまとめ/第2章 なぜ死にたくないのか/なぜ生きているとこんなに悩みが多いのか/増え方の戦略は大きく分けて2つ/多産多死の戦略/少産少死の戦略/光合成という発明/薄利多売か、付加価値か/多産多死、少産少死を極める/より大きく、長寿で、複雑に/少産少死の戦略では命が大切になる/少産少死の戦略では愛情が生まれる/本能はときに重荷にもなる/なぜ私たちは悩むのか/私たちの中にある2種類の命/どちらの命が大事なのか?/第2章のまとめ/第3章 なぜ他人が気になるのか/長生きによって他の個体との付き合いが生まれる/他の個体との付き合い方のケース/人間における他の個体との付き合い方/人間社会の協力関係/やさしさの進化/協力は義務となる/他者との関わりについての悩みの正体/私たちの考え方の由来/人間は学習によって本能を超えた行動ができる/やさしさは加速する/共感の対象はほ乳類に拡張されていく/昆虫や甲殻類や植物への共感/「やさしさ」はどこまで広がるのか/第3章のまとめ/第4章 なぜ性があるのか/自分以外に異性を見つける必要/生物によって違う性のありかた/なぜ性があるのか/性はウイルスなど病原体との競争で役に立つ/有性生殖のバリエーション/現代社会で有性生殖は必要か/性がもたらす不平等を人間は乗り越えつつある/性の今後/人との関わりにおける私たちの悩み/なぜ親はうるさいことを言ってくるのか/第4章のまとめ/第5章 何のために生まれてきたのか/不老不死が実現する人類の未来/私たちは幸せになれるのか/私たちは何のために生まれたのか/対処法1 人間に対する過度な期待をやめる/対処方2 目的はなくても価値はある/私たちがすべきこと/もっと人間らしい進化はありえるか/ミームと人間の共生/おわりに/注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

97
生命。そもそもの始まりは、増えて進化するものの出現であるが、「増える能力を持った物質が生物になった」と言うほうが正確。最初の物質はRNA(現時点で最有力)でも別の物質でも構わない。増えて遺伝する能力を持った物質がひとたび出現すると進化現象がおそらく起きる。生命の誕生は増える性質が引き起こす物理現象。― 実に急所を突いた説明だと思いました。増え方の戦略としては、細菌など単細胞生物の短い時間で世代交代を繰り返す「多産多死」と「少産少死」の二つあり、人間は究極の「少産少死」で寿命も長い。→2024/07/12

ホークス

44
2023年刊。進化のカラクリを身も蓋もなく解説した上で、そこから人間について考える。命をつなぐ戦略は多産多死と少産少死の二つ。人間は少産少子で、かつ群れの中で助け合う生物。本能として自分と仲間の命を大切にするよう進化したが、個々が欲求を追えるだけの思考力も得た。結果、本能と欲求の板挟みが重い悩みとなる。このまとめ方は面白い。著者は、各自が本能と程よく距離をとって生きるよう勧める。人間が他の生物と違うのは芸術や文化。そこに人間ならではの道がある。人間はもう、楽しくなくては生きていけないのだろうと思う。2024/03/25

おせきはん

35
生物がそれぞれにつくり出した生存、進化、遺伝のメカニズムの奥深さに触れ、日々、生活を送る中で悩むことにも相応の理由があるとわかりました。生きていること自体に価値があるのですね。生きることについて科学的にも哲学的にも考えられる、刺激的な読書体験ができました。2023/06/28

りょうみや

30
生物は増える能力をもった物理現象として捉えてそこからなぜ死にたくないのか、他人を気にするのか、何のために生まれてきたのかなどの問いに考えていく。遺伝学、進化学、進化心理学の内容を多分中学生にも理解できるくらい分かりやすくまとめている。そのうち息子にも勧めたい一冊。2024/02/10

むた

21
所詮は僕らアニマルなんです、の先のめちゃくちゃ深い話。それがすごく平易な言葉で書かれていてありがたい。増える能力を獲得した物質が生物となり、人間は増えるものの末裔として現代を生きている。人間の主たる悩みのほとんどは、増えるものだからこその苦悩なのだと筆者は言う。ここに書かれているのは進化生物学であり、ヒトが有史以来考え続けてきた「なぜ生きるのか」を説いた哲学でもあると感じた。おれがこういう話が大好きなのはやはり増えるものの末裔だからなのかな。2024/01/23

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