ちくま新書<br> 金正恩の核兵器 ──北朝鮮のミサイル戦略と日本

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ちくま新書
金正恩の核兵器 ──北朝鮮のミサイル戦略と日本

  • 著者名:井上智太郎【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2023/04発売)
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  • ISBN:9784480075482

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内容説明

日本を敵視する独裁国家が核武装したことで我が国の安全保障環境は劇的に変わった。北朝鮮の核開発の動機は米韓への対抗、金王朝の維持にあったが、繰り返されるミサイル発射の挑発が不測の事態につながる可能性はないか。北朝鮮が核を使うとしたらどのようなシナリオが考えられるのか。北朝鮮の兵器開発を支えるヒト、金と技術の世界ネットワーク、背後に見え隠れする中国とロシア。米朝交渉の舞台裏。すぐ隣に誕生した新興核保有国の虚実交えた生き残り戦略を読み解き、核兵器使用をいかに封じていくか考察する。

目次

序章 世界最速のミサイル開発/イーロン・マスクと金正恩/「反撃能力」議論の内実/本書の構成/情報源/第1章 核武装の動機と秘密ネットワーク/1.体制守る「宝剣」陸から海、宇宙へ/原子力潜水艦とHY‐150/北極星vs.ポラリス/騒がしい海/9番目の核保有国/ロケットかミサイルか/「衛星発射場」異例の公開/日本が迎撃?/宇宙強国/2.核開発の起源/朝鮮戦争と原爆/在韓米軍に950個の核配備/核使用を検討した2人の大統領/金日成「日米の介入を阻止せよ」/毛沢東の拒絶、独自開発へ/核開発の父は京都大出身/米朝枠組み合意の破綻/フセインとカダフィの死/悪の枢軸と日朝交渉/ウクライナの教訓/3.技術の源泉と国産化/原子炉は英国デザイン/核の闇市場/集団通勤するロシア人/イラン、シリアとの「三角同盟」/3・18革命/ウクライナでのスパイ摘発/うり二つ/日本の10年先/ロシアを標的にし始めた米制裁/3万人が開発従事/北朝鮮版マンハッタン・プロジェクト/4.異形の経済──軍需工業と資金源/「核は安上がり」/国防費はGDP20~30%/核・ミサイルの費用/人口5%が兵士/工場潜入/労働力再編/IT労働者/偵察総局のサイバー戦士/仮想通貨を荒稼ぎ/ウクライナ特需/第2章 「前線」となる日本──米朝危機の内幕/1.軍事オプションの浮上/ディスコボール/36年ぶりの党大会/オバマ政権のサイバー攻撃/トランプの時代/2.エスカレーション/日米会談狙い撃ち/原爆の響き/オールオプション/太平洋上で核実験/3.作戦計画/鼻血作戦/80個の核兵器/ノー・ミリタリーオプション/4.国家核戦力の完成/ノース・ドックを見よ/斬首作戦/日本海に空母3隻/火星15発射/第3章 金正恩の誤算──往復書簡を読み解く/1.対話転換/白頭の血統/張成沢処刑と中国詣で/ラブレター/中国機でシンガポール入り/SF映画/2.米朝交渉決裂/スパイマスター/幻の署名式/食い下がる金正恩/「魔法の力」/要求変転/「朝鮮半島の非核化」の陥穽/180度逆の日韓/なぜ対話に転じたのか/3.反省する最高指導者/コロナ鎖国と「苦難の行軍」/党組織指導部16号室/計画経済回帰/第4章 北朝鮮の核ドクトリン──報復から先制へ/1.戦術核の登場/槍と短剣/5カ年計画/日韓狙う新型ミサイル/ミサイル防衛の間隙/2巡目は固体燃料/最も嫌われた岩/2.核使用条件の法制化/戦争初期に主導権/第二の使命/先制使用への転換/斬首作戦に「自動反撃」/日本への核攻撃/ロシアの核ドクトリン/もって3カ月/核はタブーではない/3.「実戦配備」の虚実/暴露された機密分析/日本政府の認定/前線部隊に戦術核配備?/戦術核の大量生産/飽和攻撃/電磁パルス攻撃/発射台付き車両量産命令/鉄道、地下サイロ/ハイブリッド戦/4.核のボタンはだれが押す/キューバ危機の教訓/米朝核戦争のシナリオ/核保有国が増えるほど世界は安定?/安定と不安定のパラドックス/金正恩は合理的か/マッドマン・セオリー/戦術核などない/第5章 軍拡の時代/1.新冷戦と熱戦/「急変する国際力量関係」/「核ドミノ」を警戒する中国/中朝は「同盟ではない」/友好条約第2条/不信と打算/核実験はレッドラインか/台湾有事と朝鮮半島有事/西を向くロシア/武器売却と疑似同盟/2.米国は核を使うのか/バイデン苦渋の決断/変わらぬ地雷原/北朝鮮は4番目の脅威/「発射の左」/「核の役割縮小」への逆風/軍備管理論/3.韓国──急速に進む国防強化/「主敵」はどこか/米韓ミサイル指針撤廃/SLBM極秘開発/韓国人の7割が核武装支持/作戦計画の最大変数/やるかやられるか/4.岐路の日本防衛/安保3文書改訂/必要最小限度の実力/「真剣白刃取り」/地球は丸い/懲罰的抑止と拒否的抑止/「核共有」論/はやぶさ2と弾道ミサイル/攻めの同盟/終章 終末時計の残り時間/7回目の核実験/15年計画/ファミリービジネス/北京の外交ルート/考えられないことを考える/あとがき/巻末資料/註

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kk

14
図書館本。再読。つい2ヶ月前に読んだばかりだってのに、間違えてまた借りてきてしまいました。何かのご縁ってなノリで再読しましたが、著者の博識ぶりと、その戦略的な眼差しの筋の良さみたいなものに改めて感心させられてしまいました。他方、今回ちょっと気になったのは本としての作り方。おそらく以前お書きになった連載などをベースにされたんじゃないかと思われますが、話が行きつ戻りつするような部分もあり、些か散らかってるような印象も。せっかくだから、次作ではご見識と思いの丈を白紙ベースでぶつけてもらいたいもんです。2023/10/07

kk

14
図書館本。永年に亘って北朝鮮の外政・軍事を追いかけてきた外信部記者が、歴史的なパースペクティブの中で描く北朝鮮の核・ミサイル問題の今。膨大な公刊情報を丁寧に吟味・整理し、関連イベントの背景や意味合いなどを浮かび上がらせる。北の動きだけでなく、韓、米、中、露、さらには我が国の動向や思惑などとの相関にも切り込む。情報量が然るべく多いのですごく読み易いとは言えないものの、北朝鮮問題やこの地域の安保を考えていく上で、とても役に立つ一冊。状況の深刻さに、今さらながら戦慄。2023/07/15

K.C.

4
小泉悠さんのメルマガで存在を知り購入。金正恩の思考回路は理解し難いが、それでも着々と「準備」を進めていることは理解できる。日本も、短絡的な議論ではなく、深く迅速な防衛議論をしてもいいのではないか。憲法第9条は維持したいが、丸腰でいることがいいとも思わない。今の自衛隊(+在日米軍)の戦力が妥当なのか、政権の思いつきではなく、必要な戦力(それも反撃できるレベルをいうのか、攻撃されない抑止力をいうのかも含む)は何か、それこそ有識者会議で議論してもいいのでは。2023/04/26

小鳥遊 和

3
北朝鮮の核ミサイル開発を専門家はどう見ているか。著者は「第1章では北朝鮮の核開発着手理由と高度化の過程、第2、第3章ではトランプ政権下の米朝危機が深刻な一触即発の状態だったこと、第4章では北朝鮮が実際に核を使う可能性があるのかという最も核心的なテーマを扱う」と記す。早速第4章を中心に読む。防衛省も米情報機関も金正恩を合理的人物だとするが、ウクライナ侵攻を決めたプーチンと同様、下部から正確な情報が上がっているか怪しいので「狂人理論」に立って考えるべきだとのこと。聞きなれた結論にちょっと拍子抜けした。2024/08/26

babochan0517

2
項立てが行ったり来たりして時系列で記載されていないが故に、北朝鮮が関連技術を段階的にどう発展させてきたか、体系的に分かりにくい。ジャーナリストによる著作なので文章は読みやすいが、読み終わった後に知識の蓄積を感じにくい構成になっている。北朝鮮に関しては、政治的ディスコースを額面上評価するのは特に難しいため、ミサイルや核エネルギーに対する技術的理解から、現状の発展段階を推測するアプローチの方がより有効となるも、本著は前者のレベルに留まっているのが残念。2023/08/17

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