内容説明
プロレス、夢、「何者」かになる――文豪TAJIRI、始動。
プロレスラーにあこがれる少年が、リングが積みこまれたトラックに潜り込むことから始まる、リング屋さんとの心の交流を描いた表題作『少年とリング屋』をはじめ、プロレスを通して人々の夢と「何者か」になろうとするおかしみ、人生の悲哀を描く、短編連作。
【目次】
第1話 少年とリング屋
第2話 醜い顔
第3話 かっこいい女
第4話 「全然満足していません」
第5話 俺は何者
第6話 夢の結末
エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rosetta
32
★★★✮☆プロレスラーが書いたということで余技みたいな物かと思っていたら、どうしてどうして達者な小説でした。文章とか比喩とかそこらの物書きに見習わせたいくらい。リング屋とはプロレス興行先でリングを組み立てる仕事。プロレス好きの少年が元プロレスラーのリング屋のおっさんのトラックに忍び込んで家出。母親は息子を理解したいと女子プロレスにハマり自ら女性専門ジムを立ち上げる。父親も女子プロレスにハマりアイドルレスラーのストーカーになる笑。なりたい自分になる、しかもそれが人に夢を与える仕事ならサイコーだよな2023/07/29
Roko
30
女子プロレスラーを追っかける男、たとえキモオタと言われても、「そうですよ、それが?」と言えるくらい、達観しているところがイイよね。プロレスラーになるはずだったのに、ケガしてそれが無理になったけど、リング屋さんになった権田さん、あなたもカッコいい。TAJIRI が描く人たちはみんな、情けなくって、汗くさくって、ダメなことばっかりだけど、一生懸命に生きている。そうだよね、誰からも認められなくったって、生きていく。だって、プロレスが好きだから。2025/03/12
Y2K☮
29
プロレスラーTAJIRIの初小説。「インディー団体でデビュー。メジャー団体への参戦で名を売り、海外でブレーク。帰国後は団体をプロデュース」みたいなキャリアに準拠した一大巨編を想像していた。いい意味でその予定調和を崩した意欲作。特に第四話と第五話の対比がエグい。キーワードは「何者か」であること。定義が難しいけど、正しい努力を重ねて「何者か」になろうとしている人の足を引っ張って喜んでいる人は何者にもなれない。一方で有名人やセレブじゃなくても「何者か」である人もいる。権田さんのように。人知れず咲く花も花なのだ。2023/03/29
tetsubun1000mg
14
現在も九州プロレスで現役で戦っているが、USAではWWEなどのメジャー団体に参戦していたとの履歴に驚いた。 連作短編集だがプロレスとファンとの付き合いや選手の心情を文章にしたまれな作品のように感じた。 筆者が目にしたシーンや感情をもとに書いているのだろうが、文章には無駄もなく読みやすい。 過激なファン心理についていけない点もあるのだが、AKBなどのファン心理と共通するものもあるのではと感じた。 2023/05/03
Yuuki.
12
てっきり(失礼ながら)チープなサクセスストーリーかと思いきや、全然違った。プロレスに影響を受けた人たちの泥臭い人生物語。個人的にはアリだったけど、爽快なプロレス小説を求めている人にはオススメできない。ファン心理やファン同士のやり取りがリアル過ぎて、選手もファンの様子をこんなに知っているのかと思うと、プロレスファンとして妙に恥ずかしくなった。2023/05/01
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