内容説明
都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
585
『なるほど、「風」という一文字だけでも、こんなに多種多様で自由なものだったのか』。ホテルマンの続と、『書家』の遠田の出会いの先に、確かに紡がれていく人と人とのつながりを描くこの作品。そこには、オーディブルを先行させることを前提としたさまざまな工夫に満ち溢れた物語が描かれていました。猫好きにはたまらない描写が連続するこの作品。『書』の世界の奥深さに魅せられていくこの作品。『書』の世界に関わる人たちの”お仕事小説”の側面も見せる物語の中に、三浦しをんさんならではの魅力溢れる世界が展開する素晴らしい作品でした。2024/01/05
starbro
563
三浦 しをんは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 タイトル&装幀も好く、物語も面白いのですが、オーディブル書下ろしのせいか、感動少な目でした。新宿の三日月ホテルには泊まってみたい🏩 https://www.shinchosha.co.jp/special/suminoyurameki/2023/06/17
はにこ
507
三浦しをんのエッセイを読んだことがあるが、めちゃめちゃおもしろい人。その三浦さんの面白さが活かされた作品だと思う。でもその面白さだけではなく、遠田の影の部分も上手く描かれていてそのコントラストが素晴らしい。大人になってからの友達ってなかなかできにくいからこの二人の関係が羨ましく思った。競馬好きなので、チカが競馬に勤しみヤラれるのが分かるわーっと共感し、笑った。2023/06/03
うっちー
443
字が上手なのは羨ましい。デジタル化が進み、字を書かなくなってますます、低下しています2023/07/10
瓔
440
テンポがよく、楽しく読めました。 三日月ホテルのコンシェルジュ、チカ(続力)と書道教室を営む、遠田(遠田薫)のコンビが素敵でした。 すれ違っても魂の奥底で繋がっているように思え、縁というものの不思議さを感じました。 そして「書」の奥深さや楽しさを思い出しました。 メールだと誰しもが同じ書体になり、字の癖がなくなります。 私は、字の癖に相手の人柄を思う余白があると思います。 相手と会えなくても、文字越しに対面しているように感じるのです。 自分と向き合い、字を書く。 相手を思い、字を書く。 人の心がそこに。 2023/09/26