内容説明
1995年、雷都・宇都宮。高2の達也は東京に憧れ、広告業の父はアンプの製作に奮闘する。父の指示で黎明期のインターネットに初めて接続した達也は、ゲイのコミュニティを知り、おずおずと接触を試みる。轟く雷、アンプを流れる電流、身体から世界、宇宙へとつながってゆくエレクトリック。新境地を拓く待望の最新作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
199
第169回芥川龍之介賞受賞作&候補作第二弾(2/5)は、候補作二作目です。千葉 雅也、三作目です。著者の芥川賞ノミネートは3回目ですが、何だかんだでゲイがテーマの一つ、今回も3度目の正直はないと思います。【読メエロ部】 https://www.shinchosha.co.jp/book/352973/2023/07/11
美紀ちゃん
100
芥川賞候補作なので読んだ。同郷でもある。千葉さんを応援したい。高校2年生の主人公のドキドキや悩みが雷のようにきらめく。1995年の様子も懐かしい。栃木県宇都宮市はなぜだか雷が多く「雷都」(らいと)と呼ばれたりする。「エヴァンゲリオン」という名称を出さないのによくわかる説明がとても上手い。ラジカル→ 急進的なさま。過激なさま。極端なさま。ゲイの世界は裏世界でその入り口を発見した場面のドキドキがとても印象的。宇都宮市の様子も想像できるので読みやすかった。場所が想像できて楽しい読書だった。2023/08/03
いっち
70
タイトル「エレクトリック」には、「電気の、電気で動く、電動の」の意味がある。作中に、アンプや静電気、マジックが出てくるが、一番は「同性への目覚め」を表していると思った。主人公は高校2年生の男子。同性への関心をどうすることもできなかった。しかし、インターネットでゲイのコミュニティを発見し、世界が変わる。まさに「エレクトリック」。主人公の住む宇都宮にも、ゲイのハッテン場があることを知る。その場所へ行くが誰もいなかった。「皆が行く方向に行かない。それだけで勝てる」と独立して広告代理店をしている父は言う。本当か。2023/06/11
チャーリブ
50
1995年、インターネットの黎明期の話。この小説は宇都宮在住の高2男子が主人公ですが、父親の会社がプロバイダー契約をしていて実験的に息子に自由にネットにアクセスさせているという、当時としてはまことに羨ましい環境です。電話回線でネットに接続するときのあの「ポパパ、ポパパ〜」という音が懐かしいです。さて小説は、ネット接続を通して未来の自分の可能性(性的嗜好も含めて)にアクセスしていく男子高校生の話ですが、個人的にはあまり思い出したくない暑苦しい青春時代。青春小説としてはどうでしょうか🤔。2023/07/18
烏山ちとせ
43
同時代性を含めた世代的な興味と高評価を耳にして。加藤氏の専門分野の著作は新書で手にしたことがあるが、一方の初めて読んだこちらの分野は平板で残念な気がした。叙述も事件性も時代の見方も。記録的な意味が皆無ではないが、当時を思い出して記録して、それを接続の名の元に収束させて、その上で浮かび上がる何かがない。時折家族との間で緊張感のある場面があったものの、毎年現れる新人作家が沢山産出するそれを読んだという以上の感慨はなかった。だが当事者としてこの時代を克明に書こうとする意欲は買うし、恐らくまだ誰も成功していない。2023/09/10
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