内容説明
当初から朝鮮支配を意図し、計画的に大陸中国を侵略して、軍部の無謀な暴走の末に対米戦が不可避となった、というのは本当か? 日清・日露戦争から第一次大戦、満州・支那事変を経て、先の戦争に至るまで、当事者たちがどんな決断を下したのか、それぞれの開戦過程を各分野の第一人者が実証的に語る「近現代史」連続講義。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
103
日清日露、第一次世界大戦、満州事変、支那事変、対米戦争について、なぜ戦争を始めなければいけなかったかを詳しく分析する。全八回の連続講義の講義録であり、各章の執筆者ごとに微妙なスタンスの違いはあるが、現代文化會議の主催だけあって、十五年戦争という概念を否定し、大東亜共同宣言を評価するというような歴史観が貫かれているように思える。時代を経るにつれて、「なぜ始めたか」ではなく「なぜ回避できなかったか」という分析が必要になるほど、この国の意思決定が「両論併記的」で「非(避)決定的」になってゆく様子がよくわかる。2023/10/05
skunk_c
66
現代文化會議という右派系の団体が主催する連続講義で、日清・日露から対米戦争までの開戦に至る過程の概説で、さほど新鮮味のある話はなかった。興味深かったのが山田朗氏の昭和天皇と戦争との関わりの章で、統治(政治)に関しては距離は置いていたが統帥に関しては情報を得てかなり突っ込んだ質問をしていたこと。ドイツ敗北までは一撃講和論だったそうだ。そして『昭和天皇実録』には多分意図的な書き落としがあるとの指摘は重要。しかし台湾航空戦で海軍は矛盾する報告を天皇にしながらその内容を吟味していないとは。あと著者略歴は欲しい。2023/11/14
masabi
11
【概要】日清日露から対米戦まで開戦の経緯とそれ以外の選択肢があったのかを各分野の専門家が講義する。【感想】どの講義も興味深かったが、とりわけアメリカがイギリスの抗戦継続を自国の死活的利益だとみなす過程(6章)と昭和天皇がどれだけ戦況に通じていたのか、主体的に軍事に関与したのか(7章)と論じたものだ。後者は正確な情報に触れ的確な指摘をする軍事指導者の面を示す。この視点はなかったと。また、中国での利権をめぐり衝突する日英戦争の面も強調されており、そちらについても調べたくなった。2024/04/10
二人娘の父
8
「現代文化會議」なる団体主催の連続講座を収録したもの。「戦争」を大東亜戦争と呼称し、会議=會議と表することから分かるように、どちらかと言えば「右」寄り、保守派による論客による日本の戦争開始の経過を振り返る内容である(例外は天皇の開戦責任を論じた山田朗氏)。一つひとつの議論については、私の理解の及ばない点もあるし、賛否は当然ある。ただどういった立場であっても、動かしようのない事実から物事を論じていこうという姿勢は各人に見られるので、その辺りは信頼できる論考ではないかと考える。2024/08/18
とりもり
4
「対米開戦の引き返し点はどこか」を明治以降の日本の戦史を通じて探る本。近代日本外交の失敗は中国政策の失敗と言っても過言ではないという指摘と、大正デモクラシーの時代には蔑視されていた軍人が、国民が財閥との癒着によって政党政治に幻滅して軍への期待を増大させていったという指摘が印象に残った。昭和天皇の戦争責任にも踏み込んでおり、戦況についてはかなり正しく認識して具体的な指示を出していたことが近時の資料で明らかになっている。戦争を回避できなかった一番の理由は政治のリーダーシップ不足ではなかったかと。★★★★☆2025/02/24
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