内容説明
東京の片隅、小さな二階建ての一軒家。庭に季節のハーブが植えられているここは、精神科医の夫・旬とカウンセラーの妻・さおりが営む「椎木(しいのき)メンタルクリニック」。キラキラした同級生に馴染めず学校に行けなくなってしまった女子大生、忘れっぽくて約束や締め切りを守れず苦しむサラリーマン、いつも重たい恋愛しかできない女性会社員、不妊治療を経て授かった娘をかわいいと思えない母親……。夫妻はさまざまな悩みを持つ患者にそっと寄り添い、支えていく。だが、夫妻にもある悲しい過去があって……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
434
窪 美澄は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、純喫茶・純&椎木メンタルクリニック連作短編集、感動作でした。オススメは、『夜のカフェテラス』&『ゆりかご』となります。4月は、本書で読了です。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322101000286/2023/04/30
うっちー
318
心がほんわかしました2023/05/01
のぶ
297
とても温かい雰囲気の連作集だった。椎木メンタルクリニックの旬先生とさおり先生。それに純喫茶・純の純さんが中心に繰り広げられる人間ドラマ。いろいろあってうつ病や精神に病をかかえてしまった人たち。うつ病はよく心が風邪をひいてしまった状態だと言われるが、そんな人たちが純さんの紹介で訪れる心療内科。このクリニックが医院らしくなく普通の住宅と変わらないというのが良い。旬先生とさおり先生が開業に至る話が一話で明らかにされるがこれには感動した。窪さんの本はほとんど読んできたが、その中でも一番やさしさの出た本。2023/05/01
まちゃ
282
精神科医の夫・旬とカウンセラーの妻・さおりが営む「椎木メンタルクリニック」。心が疲れた人々が、そこを訪ね、再生していく物語。どこにでもいそうな人々が追い詰められていく様は、読んでいて胸が詰まるものでした。その人々が椎木夫妻のサポートで再生していく様に安堵しました。読んで良かったと思える癒しがありました。私も「椎木メンタルクリニック」を訪ね、「純喫茶・純」て旨いコーヒーが飲みたい。2023/06/15
もぐもぐ
267
心が疲弊した人たちが、椎木メンタルクリニックと出会い元気を取り戻していく連作短編。窪さんは以前「晴天の迷いクジラ」で命の瀬戸際まで追い詰められた人たちの再生を描いたけど、今回はそこまで行く前に助けを求めよう!という話。どちらも素敵な本。優しい言葉に自分がしんどかった時を思い出して涙目になっちゃいます。「避難所みたいな人と場所」を作るのは本当に大事だし、その選択肢としてこんなメンタルクリニックが存在していて欲しい。人と人とが支え合う温かい話でした。しらこさんの装画も大好き。2023/04/13