講談社文庫<br> 大学病院の奈落

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講談社文庫
大学病院の奈落

  • 著者名:高梨ゆき子【著】
  • 価格 ¥715(本体¥650)
  • 講談社(2023/04発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065314869

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内容説明

「医の仁術」に背を向けた医師たち。病院内の幼き対立構造には呆れるーー作家・塩田武士氏絶賛!
日本医療ジャーナリスト協会賞特別賞を受賞した話題作を文庫化。

群馬大学医学部附属病院で手術を受けた患者8人が、相次いで死亡していた。
読売新聞医療部のスクープ記事から、医学界を揺るがす大スキャンダルが発覚する。死亡例が積み重なるなかで、なぜ誰も「暴走」を止めなかったのか。
その背景には、群馬大学病院内のポスト争い、学閥、セクハラ問題が影を落としていた――。

2014年に相次いで亡くなった患者・8人の手術は、いずれも早瀬(仮名)という40代の男性医師が執刀していた。
院内調査によって、さらに10人が死亡していたことが発覚。
技量の未熟な早瀬が、超一流外科医でも尻込みする言われた高難度の最先端手術に挑んだのはなぜなのか。
患者には知らされない、保険診療の闇。
旧帝大がいまだに力を振るう、医師会の勢力争い。
乱れ飛ぶ怪文書。
変わることなき「白い巨塔」の病理と、再生への道のりを描いた医療ノンフィクションの傑作。

目次

プロローグ ある男性の死
第1章 「死亡率12%」の衝撃
スクープ記事/遺族は何も知らなかった/先生はいつもいない/苦痛に満ちた最期
第2章 パンドラの箱が開いた
学長選直前の不祥事/「全てにおいて過失があった」/弁護団が明かした新事実
第3章 院内戦争
第一外科vs.第二外科/有力助教授はなぜ外されたか/怪文書乱れ飛ぶ教授選/セクハラ問題/「俺は悪くない」
第4章 見えてきた真相
仕切り直しの調査/「手術ありき」だった/悪しき伝統
第5章 遺族の物語
第6章 技量不足が招いた悲劇
執刀医の技量/専門医資格のまやかし
第7章 功名心にはやる医師たち
「腹腔鏡手術」に挑む/功名心の代償
第8章 先端医療の落とし穴
新技術導入の盲点/繰り返される医療事故の歴史
終章 「完全なる変容」目指して
あれから――文庫版あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

JILLmama

20
怒りしかない!!これってほぼ殺人じゃん。人体実験じゃないか。大学の派閥争いに患者を巻き込むな!手術が下手くそなのに、上司の教授に逆らえなくて、無謀な手術を次々と。亡くなられた患者家族も、おかしいと思いながらも何も出来ずにいたみたい。世間に公表されても、医者は続けてる。免許もなくならない。ホントおかしい!2023/06/18

マダムぷるる

8
大変丁寧に取材しまとめられたルポルタージュだった。新聞社の論説解説員の書いた文で、難しい医療用語もあったがわかりやすかった。だからだろうか。恐ろしかった。昭和の白い巨塔の時代ならいざしらず、西暦2000年代に入ってからの話なのに。しかも、執刀医の虚栄心とか見栄とかいうものによる暴走とは言い切れず、むしろ組織や仕組みの不備、暴走を止めるシステムがなかったことなど、事故を防ぐことができない様々な要因があるように感じた。私も大学病院にお世話になっている患者の一人。研修医や学生さんに同席されることもあるが→2023/05/13

Himiko

8
つい興味深々で、手にとってしまった本。群馬大学の事件は記憶に新しい、そんな事が本当にどうやって起こったのだろうと、読み始める。大学病院は、まるで「白い巨塔」のような勢力争いが本当にあるんだとびっくり。大きな病院になればなるほど、患者はモルモットのように扱われている感じ。素晴らしい医者、病院も多いが、患者を蔑ろにして、高度医療に走る医者もまた多くいるのかもしれない。恐ろしい実態を知った一冊。2023/04/23

ドットジェピー

5
面白かったです2023/04/25

killie_lt

2
群馬大学医学部附属病院で起きた腹腔鏡手術のスクープを発端に、次々と明らかになる手術後死亡例の異常な数と状況。本書はその陰にある医師の問題と病院の問題を丁寧に明らかにしていく。 スクープを放った記者本人による著書だけあって、複雑な事象や多数の登場人物が非常によく整理されており、一気に読んでしまった。起きてしまったことは恐ろしいが、どこの地方であっても大いにあり得る(あり得た)話。エリート医師とはどういう医師なのか、深く考えさせられた。2023/05/10

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