講談社学術文庫<br> ゴルギアス

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講談社学術文庫
ゴルギアス

  • ISBN:9784065315880

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内容説明

プラトン初期対話篇の代表作、練達の訳者による決定版新訳が完成!
本書では、当時を代表するソフィストであるゴルギアス、その弟子ポロス、気鋭の政治家カリクレス、ソクラテスの崇拝者カイレポンの四人を相手にしてソクラテスが対話を展開します。その中心的な主題は「弁論術とは何か」です。
ただ雄弁に語り、聞く人を説得するのが理想的な弁論術ではありません。大した内容もなく、正しい知識を与えることもないのに、相手を論破したり、耳障りのよいことを訴えたりするだけの言葉が今もよく聞かれます。言うまでもなく、そのような言葉を語る人が政治的な意図を隠しているなら、聞く者は気づかぬうちに意図された方向に導かれ、特定の政治的な主張を支持するようにもなるでしょう。古くは「プロパガンダ」と呼ばれ、今日では「フェイクニュース」や「ポルトトゥルース」、「オルタナティブファクト」などと呼ばれる現象には、そのようなからくりが含まれています。
では、正しい弁論術とはどのようなものなのか? ソクラテスは、ゴルギアス、ポロス、カリクレスの順に濃密な対話を交わし、その答えを明らかにしていきます。それは最終的に「正しさ」とは何かを知ることに行き着くでしょう。何が正しいのかを知っている人にしか正しい弁論術は使えない――当たり前に思えますが、その当たり前のことを残念ながら人類はプラトンの時代よりよく理解し、実践していると言えるでしょうか?
価値の基準が崩壊したと言うしかない現代世界の中で、道徳的であること、正しくあることとは何か、という問いは、ますます重要性を増しています。練達の訳者によって蘇ったプラトン渾身の対話篇を手に、今と未来を考えていただけるなら幸いです。

[本書の内容]
[プロローグ ゴルギアスとは何者か]
[第一幕 ゴルギアス対ソクラテス]
[第二幕 ポロス対ソクラテス]
[第三幕 カリクレス対ソクラテス]
[エピローグ 死後の裁きについて]

目次

[プロローグ ゴルギアスとは何者か]
[第一幕 ゴルギアス対ソクラテス]
[第二幕 ポロス対ソクラテス]
[第三幕 カリクレス対ソクラテス]
[エピローグ 死後の裁きについて]
訳者解説
文献表
訳者あとがき
関連地図
関連年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buuupuuu

23
弁論術の話から、力とは何か、幸福とは何かという話へと深まっていく。カリクレスがはっきり述べることになるが、対話相手たちの意見の根底には、快楽こそが善であるという考えがある。ソクラテスの考えでは、快楽と善を同一視することはできない。むしろ快楽は、善という観点から評価されなければならない。ここでの対立軸は、外的に与えられるものに善を見出すのか、それとも、自分自身のあり方を善くしていこうとするのか、という点にあるように思う。外的なものは偶然性に左右されるし、結局のところ、受け手のあり方によって善くも悪くもなる。2025/03/16

いとう・しんご

14
近所の本屋でフラリと買ってきましたがビンゴ!でした。読み始めて、古代ギリシャの話しではなく、まさに現代社会にずばり当てはまるお話で、歴代総理の顔を思い出しながら読んでいたら、訳者解説でも同様の指摘があり、我が意を得たり、という思いでした。さすが歴史を経てきた名著、としか言い様がありません。2023/07/14

いとう・しんご

13
読む本が無くなったので3読目。読むたびに新たな視点が見えてくる、というか自分の獲得した問題意識を本書に発見する、と言う意味では限りない広がりを持つ本だなぁ、と思いました。聖書に代って、死の床に持ち込むべき本。2025/06/30

いとう・しんご

11
横浜市図書館の長期休館で読む本が無くなっちゃったよ~シリーズ第2弾。「確かに、彼ら、先の政治家たちが、われわれの国を大きくしたとも言われている。だがね、実はあの昔の連中のせいで国がむくんでしまって内部で化膿しているという事実に人々は気づいていないのだ。というのも、その連中は節度と正義はそっちのけで、港や造船所や市壁や貢租やそれに類した馬鹿げたもので国を飽食させたからだ。」p217。騙す方が騙される方より悪いと弁論家(政治家)の説得に努めるソクラテス。さて、現代の政治家は正直者?嘘つき?2024/01/14

みのくま

7
本作は弁論術の大家ゴルギアスと弟子2人がソクラテスと対話する。とはいえ対話というよりは論破対決になっており、あまり感心はしなかったが、内容は流石に含蓄がある。ソクラテスは、ゴルギアスのような弁論家は大衆の欲望を体現しているだけであり実質(正しい事)はないと論破する。ソクラテスは更にアテナイの偉大な政治家(ペリクレスなど)も同様であると断言しており、ここにプラトンの哲学王構想の片鱗が見て取れる。本作をポピュリズム批判として読むのは間違いなかろうが、プラトンはもっと明確に民主主義を批判しているのではなかろうか2023/06/20

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