内容説明
エベレスト山頂を眺めながら、この瞬間は二度と経験できないんだと思った。泣きたいくらい苦しいのに、それでもまたこの空間に身を置きたいと感じた――。旅を続けるのは自分の身体で世界を知りたいから。ガンジスの河口でカレーを味わい、カナダの森で松の香りをかぎ、知床の山でヒグマの足音を聞く。未知の風景を求め、そこだけに輝く一瞬を、撮って、繋げた、かけがえのない7年の記録。 ※書籍版のモノクロ写真を、電子版ではカラーで収録しています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
70
写真家である著者の紀行文。ずっと穏やかな気持ちで読み進められたのは、著者の人柄と旅する土地や人々への愛情ゆえだろうか。チベット奥地など、標高の高い場所に赴き登山なさることが多いようだが、東京に帰ってくるとかえって体調を崩すというところに、どちらが正しいとか間違っているとかいう問題ではない、人間の順応性や暮らしの課題を感じた。わたしはせいぜい数百メートルの山しか自力登山したことがないので、死に肉薄するような行動を取っているかたの心理には興味がある。2023/05/23
nonpono
55
石川さんとネパールのシェルパのテレビを見て感動。石川さんを認識したのは、20代。世界七大陸最高峰登山の当時の最年少記録を塗り替えたニュース。野口健がこの記録の挑戦である大学の一芸入試に受かった。そんな記録のがあるのかとインパクトが残ったのだ。本書は石川さんの35才から42才の旅の記録。願わくば旅先で読みたかった。カイラス、カンチャジェンガ、当時のわたしが憧れた山の名を久しぶりに聞く。心地よい旅の本。旅を美化しないでそのときに正直でまっさらで。10代の石川さんが野田知佑に将来を相談する話がまたすこぶる良い。2025/02/16
piro
40
写真家であり登山家でもある著者の地球各地を巡るエッセイ。毎年通うと言うヒマラヤに多くのページが割かれている他、日本各地の旅もあり、様々な土地の空気を感じられる濃密な一冊でした。特段美しい文章ではないものの、視界の片隅に映るちょっとしたものや、ふとした人の行動などが語られることで、情景が目に浮かぶのが良い。ヒマラヤの高峰でタバコを吸うシェルパのエピソードが印象的な『標高8400mのポイ捨て』、懐かしい越川温泉が舞台の『無人温泉』が心に残りました。国東半島の話がちょっとしか出てこなかったのは残念。2023/07/24
100
35
写真家石川直樹の旅行記と日記の中間の様な。2023/05/27
特盛
31
評価3.2/5。冒険家、写真家による旅エッセイ。国内の宮古島、知床、能登、海外はカナダ、K2やエベレストといった高い山。あちこちを旅しながら、二度と出会えない瞬間を刻みに写真を撮り人と触れ合う。自然と都会の往復に、様々な発見や感情が綴られる。ああ、旅行したい。写真を撮りたい、と無性に思わせられる。にしてもこの人はなんて自由なんだろう。読みながら、高等遊民じゃないか!羨ましい、と思いもした。でも、自分にはできない、自分は違うと縛っているのは実は偏見や思い込みなんじゃないかと改めて。2024/09/01
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