幻冬舎文庫<br> 遅いインターネット

個数:1
紙書籍版価格
¥825
  • 電子書籍
  • Reader

幻冬舎文庫
遅いインターネット

  • 著者名:宇野常寛【著】
  • 価格 ¥784(本体¥713)
  • 幻冬舎(2023/04発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784344432772

ファイル: /

内容説明

インターネットは世の中の「速度」を決定的に上げた。
しかしその弊害がさまざまな場面で現出している。世界の分断、排外主義の台頭、ポピュリズムによる民主主義の暴走は「速すぎるインターネット」がもたらすそれの典型例だ。
『遅いインターネット』が主張するこの指摘はコロナ禍とウクライナの戦争が起こる中、悪い意味で加速している。いま改めて最新の分析と対抗策を大幅に加筆しついに文庫化。
インターネットによって本来辿り着くべきだった未来を取り戻すには、今何が必要なのか。気鋭の評論家が提言する。

解説:成田悠輔
―――――――――――――――

序章 オリンピック破壊計画
TOKYO2020
平成という「失敗したプロジェクト」
「動員の革命」はなぜ失敗したか
走りながら考える

第1章 民主主義を半分諦めることで、守る
2016年の「敗北」
「壁」としての民主主義
民主主義を半分諦めることで、守る
民主主義と立憲主義のパワーバランスを是正する
「政治」を「日常」に取り戻す
インターネットの問題はインターネットで

第2章 拡張現実の時代
エンドゲームと歌舞伎町のピカチュウ
「他人の物語」から「自分の物語」へ
「他人の物語」と映像の世紀
「自分の物語」とネットワークの世紀
『Ingress』から『ポケモンGO』へ
ジョン・ハンケと「思想としての」Google
仮想現実から拡張現実へ
拡張現実の時代
個人と世界をつなぐもの
物語への回帰
「大きな物語」から「大きなゲーム」へ
文化の四象限

第3章 21世紀の共同幻想論
いま、吉本隆明を読み直す
21世紀の共同幻想論
大衆の原像「から」自立せよ
「消費」という自己幻想
吉本隆明から糸井重里へ
「政治的なもの」からの報復
「母性のディストピア」化する情報社会

第4章 遅いインターネット
「遅いインターネット」宣言
「速度」をめぐって
スロージャーナリズムと「遅いインターネット」
ほんとうのインターネットの話をしよう
走り続ける批評

文庫版書き下ろし 新章
分断する社会とより「速い」インターネット時代への対抗戦略
1.コロナ・ショックと「速い」インターネット
2.なぜ人はウイルスを直視できなかったのか
3.パンデミックとデジタル・レーニン主義
4.プラットフォームの時代と、その罠
5.持たざる者たちの希望と絶望
6.金融資本主義とプラットフォーム
7.21世紀のグレート・ゲーム
8.回帰と加速
9.戦争と「遅い」インターネット
10.プロパガンダの本質
11.モノからコトへ、再びモノへ?
12.肉でも穀物でも酒でもなく、禁断の果実を
13.強い物事と弱い人間
14.プラットフォーム下の実空間
15.「庭」へ
16.SDGsの18番目の目標

解説:成田悠輔

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

エジー@中小企業診断士

6
東京オリパラ、トランプ、ディズニー(マーベル)、ポケモンGO、糸井重里などを通してサブカル批評家が提案する遅いインターネット。確かにアテンション・エコノミーを駆動するSNSは速すぎて思考停止に。イギリスのジャーナリスト、ディヴィッド・グッドハートの「Anywhereな人々」「Somewhereな人々」で格差構造を説明したこと、吉本隆明の「共同幻想論」の自己幻想、対幻想、共同幻想で現在の情報社会の基本構成を論じたあたりがポイントか。自己幻想が肥大化したSomewhereな人々には読み書きを唱導するのだ。2023/12/30

よいおいこらしょ

5
インターネットは加速していく。昔は連絡手段のひとつに過ぎなかったが、TikTokやFacebook、Twitterのように承認欲求の鉄火場になっている。そうした中、じぶつそのものの価値を見出すためにあえて遅いインターネットを標榜した批評。熟読をしようとする流れに少し似ているか。丁寧な生活としての糸井重里の批評が面白かった。2023/06/23

dowalf

5
速すぎるインターネットに翻弄され、思考せず、分誰され続けていくこの国の未来を、何とかできないかと一生懸命考えている著者。未来への一筋の希望…みたいなものが本書の中で明確には出されていないところが、問題の根深さを物語っている気がしました。個人的には現在のインターネット上の相互承認の連鎖を断つために、人間以外の事物とのコミュニケーションを深めよう、という考え方に、字面程には楽ではないと思いつつも惹かれます。2023/06/07

千本通り

4
著者にはパネルディスカッションのパネラーとして実際に何度か(会場のリスナーとして)お会いしたことがあるが、常に笑顔を絶やさず、ユーモアを交えたわかりやすい話で好感を持ったものだった。著者の本は今回初めて読んだのだが、正直難解で読み進めづらかった。しかし解説の成田悠輔氏がコンパクトに内容をまとめられていて、エッセンスだけなら解説だけで十分かもしれない。今回書き下ろしの「新章」が追加されたが、キーワードは「庭」だ。2023/07/22

なつのおすすめあにめ

4
気になっていたが、単行本を購入しようとしたタイミングでコロナ禍がスタートしてしまったので文庫化を待っていた一冊。コロナ禍とウクライナの戦争について加筆されていて満足。成田先生の解説にあるように、現在の社会とインターネットの問題を指摘しているものの、ではその先は?という感想はある。遅いインターネット、上手くいくといいなと思いつつも、難しいのだろうな、と思ってしまう。しかしやっぱり吉本隆明の『共同幻想論』をSNSに重ねる発想・アイディアが面白い。SNSは使いこなすのは難しい、どうしたらいいのでしょうねえ……。2023/05/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21006489
  • ご注意事項