内容説明
アメリカ文学は、ようやく「アメリカ」を語らない、ただの文学になった――気鋭の翻訳家が紹介する一番あたらしく刺激的な読書案内。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
113
藤井光氏の翻訳作品なら間違いないと読むくらいのファンだし、お話のされ方も上手くとても分かりやすいのだが、ご自身であとがきに書かれておられるように、全体としてまとまりがなく、読みづらかった。確かに村上春樹作品のように、どの国の人が読んでも、違和感のない作品が増えている。だが、自分としては、ああいかにもアメリカだな、ロシアだな、イタリアだな…という印象を持てる作品を読むのが楽しく、自分の好みがここで記されているような作品とズレがあるからかもしれない。2020/03/21
踊る猫
34
そう言えばこの著者の訳した作品を読めていないことに気づかされる。私自身の勉強不足を痛感させられる。アメリカ文学を中心にグローバルに(村上春樹も視野に入れて)文学を概観しようとする姿勢は生真面目そのもので、むろんややユーモアも交えてはいるのだけどそのギャグは滑っている。結果として読み物としては良く言えば真摯な英文学研究のドキュメントとなっており、悪く言えばもう少しコアに/冒険したものを読みたかったかなというところ。だが断じて駄本ではない。著者が訳する作家をもっと読み込み、ディープに奇想と戯れたいと思わされた2019/01/23
三柴ゆよし
32
いま最も信頼できる翻訳者・藤井光の初エッセイ集。抜群のおもしろさとリーダビリティを誇るが、ここに書かれたことの重要性は、アメリカの小説だけに限らない。現代アメリカ文学の特徴を、無国籍なターミナル空間にもとめるのは至極納得。しかし本書の場合、そこから更に一歩進んで、アメリカの夢の最果てたる荒れ地というヴィジョンを提示している。私は最近の若いアメリカ作家たちの小説を、どちらかといえば閉じた箱庭的幻想のようにとらえていたのだが、むしろそれぞれ固有の方法によって、世界にアクセスしようとする試みだと気付かされた。2016/03/17
かもめ通信
27
ダニエル・アラルコンの『ロスト・シティ・レディオ 』を読んで以来、細々と遅れ遅れではあるけれど、翻訳家の藤井光さんの翻訳作品を追いかけている私としては、このエッセイ集は読まなきゃ本だったのだが、副題のアメリカ文学うんぬんには正直少々不安を覚えてもいた。昔から翻訳小説好きの私だが、どうも米文学には苦手意識をもっていたから。でもこの本を読んだら、自分がなぜ米文学を避けてきたのか、なぜここ数年急に興味を持ちだしたのかがよくわかった気がした。おかげでますます新旧様々な積読本が増えそうではあるけれど…。2016/05/16
スミス市松
26
著者の翻訳の根底にあるのは、「書くという行為を通じて、他者への共感を発揮することができる」という揺るぎない信念である。ターミナル化/荒れ地化した空間から発信される文学作品の翻訳を通じて、「連帯していなかったすべてのものを結び合わせ、再結集させ、結びつけ、繋げ、中継する」(「高度必需品宣言」より)こと――おそらくその先に、荒れ地の果ての向こう側がある。2016/05/03
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